◇狐、１６９ ページ19
、
「沖田はいくつ俺らから奪ったと思ってんだ！ 前頭領から始まって、全部盗っていっちまったでねぇだか！！ 金道は忘れちまっただ！？」
『それでも落ち着きやれと言うておろう、この子鬼めがっ！ その頭で考えて動かぬか！！』
ハッキリ言って、剣城の一族である２人には、彼らの話している事が全くもって理解できない。
だが、それでも少年が沖田の一族を快く思っていない事はわかった。
それなのになぜ、
「(彼らは沖田側につくんやろ･･･)」
そんな純粋な疑問が浮かんで来るくらいには、勇一は沖田に何か特別な感情があるように思えた。
「頭領、はよ行かんと･･･、」
「あぁ･･･」
マサが優一を急かす。
優一は短く返事をすると、不動と豪炎寺を連れてきた時と同じ術で屋敷に戻ろうと準備した。
しかし、そんな優一の頭に、先程の鬼の涙がよぎる。
「頭領？」
「･･･」
病院で出会ったときのあの朗らかな雰囲気に絆されたのだろうか。
それとも、単に幼い少年の流した涙が心を突いたのだろうか。
それとも･･･。
気が付けば優一の右手が、勇一の腕を掴んでいた。
「え、」
「あ、れ･･･？」
俯いて肩を震わせていた勇一が弾かれたように振り返った。
片方だけ露出された翡翠の瞳が大きく開かれる。
「とおりょおおぉぉぉ！！？」
『･･･やれ、剣城の頭領。なにをしやる。早う手を離せ』
心なしか苛ついているようにも聞こえる狐の声に、優一は心の中で反発した。
何をしやる、って･･･。
自分が一番聞きたい状況であるのに、そんなことを問われても困る。
無意識とは本当に恐ろしい。
本人の意思に反した行動を取ってしまう事もしばしばあるのだ。
「･･････優、さん？」
しかし、不安げに自分の名前を呼んでくる子鬼の声で、ハッと我に返った。
俺は、何がしたかったのか。
勇一は知らず知らずのうちに病院で優一を呼んだときと同じような声音で接していた。
その事が優一を一つの答えに導いた。
「狐、よお聞け」
『･･･なんだ』
「俺がお前の主を海城の頭のとこまで送り届けたる。お前はその娘を連れてきぃ」
『っ！？』
「･･･は？ 頭領、あんさん何言って、」
「マサ、ごたごた言うな」
威圧感たっぷりの声が、頭領に意見しようとした青年を黙らせる。
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京夜(プロフ) - アルテナさん» ありがとうございます！！ コメント、とっても嬉しいです！！ これから更新スピード上げられるように頑張りますッ！ (2015年1月4日 22時) (
レス) id: c45efebd4a (このIDを非表示/違反報告)
アルテナ - とても面白いです！！！続きが楽しみです！更新頑張ってください！ (2015年1月4日 20時) (レス) id: ab1d996a39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京夜 | 作成日時：2015年1月1日 12時
