◇狐、１６１ ページ11
、
京介が気が付いた事。
それは余りにも突飛すぎており、京介本人も何処か信じられない。
『おや次男坊、気がついたか？ あの男の正体に』
「･･･信じられないがな」
『ふふっ･･･、驚いたであろ。あれは海城一族の特権よ』
ケタケタと笑いながら狐は話しかけてくるが、ハッキリ言って京介には笑えない事実である。
しかし、狐は京介の立てた仮定を、彼に言わせる前に肯定して見せた。
『あの男は我が主、海城陽也、その人よ』
『面白かろう、海城の人間は？』と狐は続けたが、京介の耳には入らなかった。
その代わりに眼だけはしっかりと動いており、陽也を追いかけていた。
豪炎寺によく似た風貌の彼は、なるほど、言われてみれば確かに海城陽也を成長させた様にも見える。
その青年は、フワリフワリと鎖鎌から繰り出される攻撃を避け、大きな斧で敵を寄せ付けない。
それどころか男を使って遊んでいるようにも見えるから不思議である。
京介から見れば、その光景は肉食獣が獲物である草食動物で遊んでいるような、そんな感じ。
質の悪いガキだ･･･、と思ったが、今彼は青年だから何も言えない。
そんな事を思った折の事であった。
「＿＿＿＿＿っ･･･！！」
『やれ、ようよう終わったか。長いもんよのう』
何とも静かに、それこそ物音一つ立てずに、陽也は男の首を刎ねていた。
スタンッ、と陽也が着地する音が大きく聞こえる。
続いて男の体が、次に首が順番に落ちる。
その鮮やかさに思わず呆けていた京介だが、行くぞ、と狐が尾で背を突くから、仕方なしに陽也の方へと歩を進める。
その頃には陽也は青年から少年へと戻っていた。
「銀次、忌み子は？」
『ほうれ。この通りよ。背からブッスリと刺されておる故、早めに処置するが吉であろ』
ケタケタと楽しげに話す銀狐に、眉間に皺を寄せてみせた陽也だったが、ふと京介に気が付いたのか視線だけを彼にやった。
その後にこれまた視線だけを黒装束の男にやって、何かに気が付いたように今度は頭、体を向け、京介にも見るように指示した。
「あれが見えますか、剣城家左京」
「･･･あぁ」
「恐ろしいモノでしょう、あんな、人成らざる物を創る沖田の思考は」
話している相手が海城一族の人間である事も忘れ、同調するように京介も頷く。
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京夜(プロフ) - アルテナさん» ありがとうございます！！ コメント、とっても嬉しいです！！ これから更新スピード上げられるように頑張りますッ！ (2015年1月4日 22時) (
レス) id: c45efebd4a (このIDを非表示/違反報告)
アルテナ - とても面白いです！！！続きが楽しみです！更新頑張ってください！ (2015年1月4日 20時) (レス) id: ab1d996a39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京夜 | 作成日時：2015年1月1日 12時
