第八百九十三話：現状 ページ32
蝙蝠「・・・人鳥の奴、あんなことするようになったんだなぁ。」
狂犬「えぇ、今のは私もちょっとびっくりしたわ。」
一部始終を見ていた二人はそんな事を言っていた。
蝙蝠「・・で？」
狂犬「何よ？」
蝙蝠「お前の方の仕事はどうだったよ？」
狂犬「順調よ。資材の調達関係の依頼も、別段特に問題なしよ。いつも通りだったわ。」
蝙蝠「そう言うと思ったぜ。」
そう言って後ろ頭に手を置く。
狂犬「・・・。」
蝙蝠「？・・どうした。」
狂犬から感じる雰囲気を感じ取って蝙蝠が問う。
狂犬の視線の先は、前にいる二人ではなく、別の場所に移っていた。蝙蝠もその先へと目を向ける。
＿＿そこにあったのは、お尋ね者の立て看板が三つ。
＿＿前の姿の否定姫、かつての幕府の裏切り者の役人・・そして、春夏秋 樹だった頃のAだった。
狂犬「・・・。」
蝙蝠「・・・。」
見ながらその場所を素通りする。
狂犬「・・・あれから、もう一年経つのよね。」
蝙蝠「・・あぁ。」
＿＿そう。刀集めの一件が終わり、現在一年近くが経っていた。
＿＿とは言っても、今の仕事を始めてからまだ一年に満たないが、それに向けての準備期間を含めれば、一年という歳月が流れていた。
＿＿四季咲記紀の末裔である否定姫とAが起こした世直しは、本来起こるはずだった未来同様、失敗に終わった。
＿＿現在、八代目の息子が現九代目将軍を継ぎ、今の幕府を統制しているという現状であった。
＿＿九代目が継ぐ前に、将軍の暗殺を謀った否定姫、かつて働いていた幕府の役人、Aがお尋ね者として指名手配し、前ほどではないが現在も密かにその捜索が行われている。
＿＿春夏秋 樹は、鑛一族の鑛 樹として手配されている。
蝙蝠「つっても、前よりはいくらか落ち着いた方だろ。」
狂犬「確かに、前みたいに慌ただしい感じじゃないわ。・・でも、気を抜いては駄目よ。」
蝙蝠「んなの毛頭承知だっつうの。いくらあいつが、蜉蝣が＿＿自分の術で奴等の記憶を改竄していようともな。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雨晴(プロフ) - 青龍さん» こんばんわ〜ありがとうございます(^^) 頑張らせていただきます！ (2017年7月24日 22時) (
レス) id: 3adc52b091 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 - 完結おめでとうございます！新しい小説でも頑張ってください！ (2017年7月24日 21時) (レス) id: ba867b1983 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨晴 | 作成日時：2017年6月10日 1時
