第百三十四話：とある島 ページ6
Aが見たもう一人の人物は、長い白髪で奇抜とも言える服に身を包み正座をしている女性だった。
A「あの人、もしかして兄さんの言っていたとがめさんって人かな？」
何やら会話をしているようだ、その会話の一部だが聞こえてきた。
とがめ『あれは大乱の英雄の流刑の地。』
A「大乱の英雄？」
見えたものは、一つの島。
A「この島が流刑の地？」
一世「ちょっと先へ行こうか。」
一世が言うと、光景は変わりある家の中の光景が見えた。そこには先程のとがめの他に二人いた。
一人は見た目が若いが体格のいい大男。もう一人は小柄で色白の清楚な女性。
自己紹介をしているようだ。
A「あの、この人達は？」
一世「彼らはこの島、不承島に島流しにあって住んでいて、虚刀流という刀を使わない剣法を使う一族だ。男の方は虚刀流七代目当主・鑢 七花。女の方はその姉の鑢 七実だよ。」
A「虚刀流・・えっと島流しって一体・・？」
一世「彼らの父、虚刀流六代目当主・鑢 六枝が自身の妻である鑢 みぎりを殺した疑いをかけられて、当時幼かったこの二人と共に、この島に十九年もの間暮らしてきたんだ。」
A「十九年！？私達の場合は十五年だったけど、そんな二十年近くもの間、あの島で。」
そう話している間にも話は進んでいた。
とがめ『そなた天下は欲しくはないか？』
七花『いらん。』
A(天下？っていうか即答でいらないって言った。)
とがめはいるという答えだろうと思ってたのか、天下が欲しい事は恥ではないという事などを言っていたが、後になって『いらんのかい！』と言った。
とがめ『四季崎記紀という刀鍛冶は知っておるな？』
七花『知らない。』
A(四季崎記紀？ってまた即答で今度は知らないって言った。)
とがめは先程と同じようにして知っていると思っていたのか、剣客である以上その名は知らぬはずもないと言ってから後に、『って知らんのかい！』と言った。
A(この人、ほんとに幕府の人？)
七実『四季崎記紀？確か戦国時代の有名な刀鍛冶でしたか。』
とがめ『その程度の認識しかないのか・・。』
七実『虚刀流の開祖と浅からぬ因縁があったという事だけは聞いていますが。』
それを聞いたとがめは何と言ってよいやらという顔をしていた。
とがめ『はぁ、四季崎記紀はどの流派にも属さない孤独にして孤高、異端中の異端の刀鍛冶。しかし、彼こそが戦国で最も支配した刀鍛冶と言われておる。』
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作者名：雨晴 | 作成日時：2016年8月26日 1時
