第六十八話:幼い兄は・・・ ページ23
__縁郷・朝
火成汰「じゃあ、三日間よろしくな。いってきます!(ニコ」
A「は〜い、いってらっしゃい!(ニコ」
スゥー・・パタンッ
A「・・・よし。準備だ。」
あの時と同じようにすぐさま準備をし、精霊達の憩の方へ行った。
__精霊達の憩
・・・水浴びをしていた。ただ水浴びをしていたのだ。
楽しみにしていたはずの真庭忍軍の来訪があの時のように心が躍るような気持ちにならないのだ。
理由は既に分かっている。
兄に真庭忍軍がこの里へ来たことを知られたこと。三日前の古社で見た悪夢。
そして、あの夜に見た兄の書類。
A「・・・気付いてる。絶対そうだ。兄さんは昔から勘が鋭いから。」
考えすぎではないかと思っても、現にAの浄化封印を行ったことにも気付いていた。という事実がある。ちょっとの痕跡が残っているだけでも、あらゆる可能性を追及して確かめる。それが火成汰だからだ。
A「・・・。」
目を瞑って思い出すは、幼い兄のあの言葉。
・・・・・・・・・・・・・
それは縁郷へ来て、Aが意識を失い火成汰が運んで来た時の微かな記憶。
『・・・・・あいつら、絶対に許さねぇ!父さんや母さんや一族皆を殺して・・!
俺たちをこんな目に合わせて・・・・一体俺たちが何したっていうんだ!!!』
A「・・・。」
目を閉じて意識が朦朧としている中でもはっきりと分かった。
涙ぐみながら、悔しさと怒りと悲しみに満ちた声で言っていた幼い兄の言葉が、Aの耳に脳に心に深く突き刺さっていた。
火成汰『・・・俺はこんなものじゃ、済まさない。今は無理でも・・・いつか・・絶対に・・・!』
A(・・・兄・・さん?)
・・・・・・・・・・・・・
A「・・・私は、どうしたら・・何をすれば、兄さんを止められるの?・・・ここままじゃ、皆が・・・。」
ふと目頭が熱くなってきた。
A「!駄目駄目!私、もっとしっかりしなくちゃ!」
そう言って自分の頬をペチペチと叩いた。
ザバァッ
水から上がり、体を拭き服を着る。
A「とにかく今は鳳凰さん、蜜蜂さん、人鳥君を迎え入れよう!こんな辛気臭い顔をしてたら折角来てくれたのに申し訳ないし!」
そう自分に言い聞かせた。
A「勾玉は渡してあるから、ここへの道のりは心配しなくても大丈夫だから・・・あとはそうだな〜どうしようかな?」
ふらふらとそこら辺を歩いていると、火成汰が言っていた木々があった。
だが・・・
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雨晴(プロフ) - 春夢さん» はい、何とか書いていきたいと思っております。コメント兼小説をご覧いただきありがとうございます! (2016年8月14日 12時) (レス) id: 3adc52b091 (このIDを非表示/違反報告)
春夢 - 更新頑張ってください! (2016年8月14日 12時) (レス) id: 7df5f2c691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨晴 | 作成日時:2016年8月10日 1時