第五十七話:不自然な ページ12
火成汰「・・・この木の幹、所々穴が空いているな。この一本だけじゃない。他の木にもあるが三本一列になって並んでいる・・・しかも穴はど真ん中にあってそれぞれ一つだけだ。それにこの右の木の枝、鋭利なもので切られているな。・・・熊ではないな。こんな太い枝を切断なんてできないし、そもそもそんな怪物サイズの熊なんてここら辺にはいない。切れ味も素晴らしいと言えるほど見事にきられている。」
それぞれの木々を見て触り、確認していた。
木に空いている穴によく目を凝らしてみると、さらに分かったことがあった。
火成汰「・・・穴の周りが壊死している?いや、腐敗しているのか?病気にかかっているのか?・・・だが、他の木にはそんな様子もないし、ここだけというのはおかしい。」
周りの木にはそんな損傷も症状も見当たらない。火成汰のいるここだけが不自然すぎたのだ。
火成汰「どういうことだ?明らかに不自然すぎるな。得体のしれない危険な何かがこの縁郷にいるというのか。だが、何で急に?今は神無月でその六ヶ月前の卯月の時期には無かったんだが・・・。」
そんなことをしている間にも辺りはすっかり真っ暗となってしまった。
火成汰「あ!まずい!家へ帰らないと!」
拭え切れない疑問を抱きながら、走って家へと帰った。
だが、心の中ではある確信が芽生え始めていた。
・・・・・・・・・・・・・・・
__歯車家
火成汰「ただいま〜・・・。」
Aは夕食の準備をして火成汰の帰りを座って待っていた。
A「あ!おかえりなさい!今日は遅かったね?」
火成汰「あぁ、ちょっと嫌な奴のことを思い出していたら途中で道を曲がってしまって精霊達の憩の方へ着いちまった。」
はぁと溜息をつきながら言う。
A「そうなんだ。その嫌な人って仕事をする上で関係のある人?」
火成汰「大有りだ。城の屋敷内でそいつと会う度に口喧嘩しているくらいだ。」
A「え!?口喧嘩してるの!?」
火成汰「そりが合わないんだよ。しかもお前と同じ女のくせしてありえないくらいだ。まず、格好が奇抜で容姿も変わっている。がここまではまだいい。問題はその中身だ。」
A「な、中身?」
火成汰「そいつがすんごい腹黒い奴でな、俺のことなんて始終「不愉快な男」としか認識していない上にやり方がズル賢いというか何というか・・悪巧みに近い感じだ。そういうのが好きって感じにも思えるくらいだ。」
A「へ、へぇ〜・・・。それでその人の容姿ってどんなの?」
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雨晴(プロフ) - 春夢さん» はい、何とか書いていきたいと思っております。コメント兼小説をご覧いただきありがとうございます! (2016年8月14日 12時) (レス) id: 3adc52b091 (このIDを非表示/違反報告)
春夢 - 更新頑張ってください! (2016年8月14日 12時) (レス) id: 7df5f2c691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨晴 | 作成日時:2016年8月10日 1時