QuizKnock 短編集3

初恋か再恋か。2 izwさん ページ32

短編集1の方で書いたやつの続きです。
これからちょっと前のやつの続きとか書いていければなと思います！！

izwさんside

目の前に、Aがいる。

ずっと会いたくてたまらなかった、会いたくても会えなかったAが、今目の前にいた。

『大学ね、こっちの大学行きたくて。』

「そうなんだ、どこの？」

『○○大学』

「え、同じじゃん！！」

『え！ほんと？！嬉しい！』

それは俺がいるなら心強いって意味？それとも、恋愛的な意味で？

「彼氏とか、いなかったの？」

『んーん。今まで出来たことないんだよね〜』

「なんか理由でもあるの？」

『どうしても好きな人がいて。諦めようと思ったんだけど諦めきれなかった』

「へぇ、、」

Aが、ずっと好きで、諦められなかった人、、
羨ましい。とぐらいは思ってもいいよな。

『そういう拓司はいるの？』

「いるよ」

君だ、なんて言えなかった。
それでも、

『そっか。いいね』

いいね、って、恋愛してていいね、って意味？それとも、俺が好きな子に対して？

ここで言わなきゃ、、ここで言わなきゃ、恋してきた意味ないかなと思った。

決めていた。もう一度会えたら想いを伝えようって。君の返事がどうだとしても、俺がずっと好きだったのはAだと伝えたくて。

「好きだよ。」

『え？どうしたの？』

「ずっとAが好きだった。転校する前からずっと。それでもこんな急に言われて返事は出来ないと思うし、好きな人いるって言ってたから。


...幸せになってね」

『違うよ』

『拓司だよ』

「え？」

『好きなのは拓司だよ。ずっと忘れられなくて、届かなかった人。忘れたくても忘れられなかった人。

ねぇ拓司、、好きだよ。ずっと前から。』

「『...ふふっ』」

驚いた顔で沈黙が流れて、2人で笑う。

2人して苦しい片想いしてたねー、なんて笑いあって。

あぁ、俺今人生で一番幸せだ。

「もう、俺が守るから」

聞こえないくらいの小さな声で呟いて。

言わせてくれたのも好きにならせてくれたのも、全部Aだった。

好きな人の好きな人が自分、なんてこんな嬉しい話、普通ない。

『もうどこにも行かないよ、好き。』

聞こえないような声で呟いて。

急にどこかに行ってしまった自分なんかをずっと好きでいてくれて。

良かった、自分が一途でいて。信じてて。

1番最初に好きになった人であって、

もう１回好きになった人でもあった。

初恋であり、再恋でもある。

【好きだよ】

伝えるのに10年かかったこの言葉。

それがやっと今、

夕焼けの空にこだました。

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