帰り道。kwmrさん ページ43
『はぁ、、』
「5回目」
『ん、?』
「ため息です。それで5回目」
『あぁ、ごめんなさい、』
「何かあったんですか」
『いや、言ったら馬鹿にされそうなので』
「しませんよ」
『いやぁ、色々上手くいかないなあって。仕事は全然ついていけなくて絶対みんなの足引っ張ってるし、恋人はできないし。
散々ですよ、、』
「ずいぶん悩んでるんですね」
『そうですねぇ、、』
「仕事は大変ですよ。僕だって失敗ばかりです。でも人間、最初からなんでも出来るわけじゃないので。それに、伊沢だってAのことを信頼したから誘ってくれたんですよ。大丈夫です、ゆっくり落ち着いてやれば、Aはなんでも出来ます」
『、、、そうですね、ありがとうございます』
急に優しい言葉をかけられ、少し涙が出そうになる。でもこうやってかけられる言葉で1番心の奥まで入ってくるのは、河村さんの言葉しかないな、と改めて思う。
「恋人の方は、叶わない相手でもいるんですか?」
『...まぁ、そうですね』
目の前にいるあんただ、なんて言えるわけない。...そう、言えるわけない。
「じゃあその方はAがどれだけ苦労しているかも知らずに、ただ好意を受けている訳ですね」
「少し嫉妬します」
「僕だったら」
ギュッ
「どれだけ辛い時でも隣にいてあげられるんですけどね」
『...へ』
『ほんとに言ってるんですか?』
「...」
「河村拓哉は、Aを世界でいちばん愛しています」
「これでどうでしょう?」
『...信じさせてくださいっ、』
『あと』
『私の恋、たった今叶いました。』
『私が好きなのは何も知らないただ好意を受けている人ではなく、全部しっかり聞いて受け止めてくれる頼りになる方です』
『早速癒してもらっていいですか?疲れました』
「仰せのままに」
人目も気にせずぎゅっと抱きついてきてくれる河村さん。
よかった、周りに人は居ないみたいだ。
しんと静まりかえるこの空間には、2人の鼓動だけが大きく響いていた。
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葵(プロフ) - 実紅露。さん» いえいえっ!!こちらこそ読んでいただいてありがとうございます!嬉しいです!! (2020年3月30日 17時) (レス) id: 73270576ea (このIDを非表示/違反報告)
実紅露。 - めっちゃキュンキュンしました!ありがとうございます! (2020年3月30日 10時) (レス) id: ec857bc14c (このIDを非表示/違反報告)
、 - オリジナルフラグくらいちゃんと外して下さい (2020年2月16日 15時) (レス) id: 34c689493b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葵 | 作成日時:2020年2月16日 13時