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最近は恋愛で落ち込むばかりでなく悩むことも覚えた涼介。やっと、いのちゃんに対する気持ちを自覚し始めたみたいで。
僕は自分でもグループの中で涼介と一番仲良いと思ってる。そんな僕でも初めて見た、こんな涼介。
僕がこの前仲良くなれって言ったらその通りにしようとはしているみたいで、いのちゃんの様子を伺いながら、結局何もできない日々。
荷物を持った僕に、涼介が近付いてきた。
「今日も、何もできなかった」
「そうみたいだね」
少し冷たく言い放ったのが涼介は気に入らなかったらしい。ぶすっと顔を膨らませてこっちを見てくる。
「大きい指示だけしてプランを提案しなかったのは知念だからな」
「僕の問題じゃないもん」
まだ皆が楽屋に残ってるから声を殺し気味で言い合う。正直、涼介がまっすぐ話せばいのちゃんだって応じると思うし、細かく考えなくたって大丈夫な仲なはずだと僕は思ってる。
「とにかく、難しく考えないのよ」
「それがムズい」
結局は、涼介の問題。僕が導きすぎるのは良くないと思うから心を鬼にする。
涼介は、気付かなかっただけ。いのちゃんの気持ちにもだけど、自分自身の気持ちにも。
あのときの、2人がお互いを見る視線。あんなに恋してる雰囲気がでてたのに。だから、メンバーの誰もがそこがくっつくと思ったのに。
蓋を開けてみたら、涼介の鈍感によって狂わされた歯車。
「知念、山田、おつかれ〜」
「ばいばーい」
大貴に手を振ると、すぐ後ろのいのちゃんが僕に手を振った。
「知念ばいばい」
「うん、ばいばい」
涼介は、大貴にもいのちゃんにも声をかけれずに突っ立ってる。
いのちゃんと、涼介のこれからは、2人に決めてもらわないと。前みたいに楽しそうに笑い合う姿が見たいな。
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作者名:take a walk | 作成日時:2024年1月14日 2時