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あれから1ヶ月、悶々として過ごした日々はいつもの5倍くらいは早く感じた。
山田は俺と違って忙しいから、会わない日が多いのはいつも通りなのに、こんなに山田のことばかり考えて過ごしたのはとても久し振りだった。


そして今日は山田との約束の日。仕事終わりにご飯だそうだ。本当は大ちゃんの家に一緒に帰るお誘いを受けていたけれど、断った。


マネージャーの車の中で、ざわつく心を抑えるために、目を閉じた。

















「けーい!」


優しく揺すられて目が覚める。着いたのか。
同じ車に乗っていたメンバーはもう降りていたから、慌てて俺も降りる準備をすると、大ちゃんはさり気なく俺の傍らにあるバッグを持ってくれた。
そんな優しさはいつも俺を安心させてくれる。


車を降りて楽屋まで向かっている中、大ちゃんにこっそり言った。


「大ちゃん、行動だけイケメン」

「はあ!?全部だろ、全部っ」

「ははっ」


今日はずっと大ちゃんと一緒にいよう…と思っていると、大ちゃんがこちらを振り向いた。


「慧、今日は家来る?」

「あ…」


言ってなかった、っけ。


「今日、山田とご飯行くんだ…」

「…え、急にどしたの?」

「話があるって言ってた」


立ち止まって、大ちゃんは心配そうに俺の顔を覗く。しばらくの沈黙の後、ゆっくり口を開いた。


「ま、山田は悪いやつじゃないから、心配はしてないけどさ!」


そんな大ちゃんは、空元気に見えて仕方がなかった。



















ar side


山田との飯のことについて、何も相談されていなかったのは結構大きなショックだった。慧にとっては不安でしかないだろうに、事情を知っている俺に何も言ってこないなんて。


山田、どんな話するんだろ。あいつのことだから、俺がいながら慧に急に告白することなんてないだろうけれど、不安でしかない。


だって元々は、仲が良くて良い雰囲気の2人だったし…。


また仲良くなってしまえば、俺なんかただの邪魔でしかなくなるんじゃないかという漠然とした不安に襲われていた。


膝に広げて慧と見ていた雑誌も頭に入らなくなってきた頃、隣からとん、と頭が肩に乗っかってきた。


寝落ちしてしまったらしい慧を、もの凄く愛おしく感じて、もし慧が山田を更に好きになってしまうことがあっても、慧の幸せを優先できる力が湧いてくるような気がした。

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作者名:take a walk | 作成日時:2024年1月14日 2時

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