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in side
ずっと、山田と関わるのが怖かった。
ずっと、避けてた、逃げてた。
なのに、なんで電話なんてかかってくるの?
山田はきっと俺に怒る。
あの時から俺は仕事だけでは山田と自然に絡んでいるつもりだったけど、普段では俺がビビって全く関わらない。
完璧主義な山田にとっては普段俺に避けられていると仕事に支障が出て、きっと都合が悪いんだ。
山田にはよく、怒られてたからなぁ。仲が良かった頃を思い出す。それでも、好きだった。山田は俺のことを考えて怒ってくれてるのは、分かってる。自分のために怒るほど、自己中なやつじゃない。
昨夜から何度目か分からないため息をついた。
こんなテンションでろくに仕事なんてできるわけがない。
重い体を引きずりながら準備して、少し早めに家を出た。
ym side
昨夜の伊野尾ちゃんへの電話は、多少強引だったにせよ、したこと自体を褒めてもらいたい。
が、この男は褒めてくれなさそうだ。スマホ越しにひしひしと伝わる殺気。もはやこれはひしひしじゃない、びんびんだ。
「…あの、何かまずい点がありましたでしょうか…」
「問題大ありだよ!涼介、いのちゃんに昨日伝えた内容を全て言ってみて」
えっと…次会ったとき、話がしたい。くらいじゃないかなぁ
「そこ!それが問題なんだって!」
は!?
「次会ったとき、どんな話がしたい、とか、今まで嫌ってたわけじゃない、とか、言ってあげないとだめじゃん。分かってるんでしょ、いのちゃんは気を遣って涼介を避けてること」
ああ、またまた俺は、馬鹿なことをした。
「ど、どうしたら…」
「知らない。もうあとはどうにかして。ただ、いのちゃんをもっと混乱させちゃ可哀想だから、次は素敵なレストランとかでゆっくり話してあげれば良いじゃん」
涼介も落ち着いて。
その言葉を聞いたときに何気なく見た時刻はもうマネージャーとの約束の時間だった。
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作者名:take a walk | 作成日時:2024年1月14日 2時