人を殺して死ねよとて9 ページ43
敦くんは女の子にもう片方の手を出すと、女の子は無言でリモコンを渡す。敦くんはそれを受け取る。その間に私は女の子の目の前へいき、目線をあわせた。
「貴方がマフィアだろうと、関係ない。私は貴方を助けたい」
「……」
「生きて。貴方はこんなところで死んでは駄目」
すらすらと言葉が出てきた。これは本心だ。彼女に生きていてほしいと、心から思った。
女の子――鏡花ちゃんは目を見開いたまま、私を見つめていた。やっと感情を出してくれたね、と私は笑う。そのまま彼女の手を握ると、彼女の携帯から男の声……以前聞いたことくがあるような声がした。
『……戯れ言を。……それを押したのか、鏡花。解除は不要。乗客を道連れにポートマフィアの畏怖を世に知らしめろ』
「この声……芥川!?」
「爆弾をはずすんだ!!」
敦くんはそういって鏡花ちゃんの爆弾を外すために爆弾に手を伸ばすが、鏡花ちゃんはそれを避けた。
「間に合わない!!」
そう彼女が叫ぶのと同時に強い衝撃。彼女が私と敦くんを突き飛ばしたのだ。私の後ろにいた敦くんの上に倒れこむ。
突然のことに驚いている私たちとは対照的に、鏡花ちゃんは空いている壊れた扉の手前に立つと、私たちをみた。
――そんな彼女の表情から分かってしまった。
「……私は鏡花。35人殺した。」
「待って……やめて、鏡花ちゃん……!!」
「もうこれ以上、一人だって殺したくない!!」
それは初めて彼女が口にした本心だった。反射的に止めるように言うが、鏡花ちゃんはそのまま後ろに飛び降りる。彼女は誰の犠牲者も出さないように自らを犠牲にするつもりなのだろう。
「敦くん、」
お願い、鏡花ちゃんを助けて。
――――その時、一瞬にして彼が私の横を通りすぎた。
うつくしき人は寂として石像の如く→←人を殺して死ねよとて 8
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塩わさび - きつね?さん» コメントありがとうございます!その上、私なんぞに勿体ないお褒めの言葉まで添えていただけるなんて嬉しいです…! (2018年3月29日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
きつね? - 敦くん可愛すぎます!神ですね!!!最高!!! (2018年3月29日 20時) (レス) id: 80a3d77369 (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - 、さん» ご指摘ありがとうございます。すみません今気がついたので外しました (2018年3月27日 19時) (レス) id: a1a66c3c7b (このIDを非表示/違反報告)
、 - 実在する人物、団体、アニメキャラ等を扱う二次創作になりますのでオリジナルフラグ外して下さい。違反行為で違反報告の対象になります (2018年3月27日 18時) (レス) id: 7f197fb369 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:塩わさび | 作成日時:2018年3月27日 17時