人生万事塞翁が虎 4 ページ5
そこで敦くんははっと何かに気がついた様だ。武装探偵社の知名度は高い。その分、あることないこと囁かれたりもするが。大方、巷か何かで聞いたことがあるのだろう。
「あの鴨居、頑丈そうだね。たとえるなら人間一人の体重に耐えれそうな位」
「立ち寄った茶屋で首吊りの算段をするなっ!!」
「違うよ、首吊り健康法だよ。知らない?」
「何!?あれ、健康にいいのか!?」
――太宰さん、国木田さんで楽しんでるだろうなぁ……。
真面目な国木田さんはその言葉を信じて 手帳に首吊り健康法について書き始めた。
敦くんと私は白い目で二人を見つめる。敦くんとは気が合いそうだ。
その後、太宰さんはケロリと嘘だよ、と言ったせいで国木田さんが怒り、さらに話が脱線した。埒があかないとおもったのか、敦くんは私のほうをみて尋ねた。
「そ、それで探偵の仕事っていうのは」
「あーうん。虎探しだね」
「……虎探し?」
「近頃町を荒らしている“人食い虎”だよ。倉庫を荒らしたり、畑の作物を食ったり好き放題さ。最近この近くで目撃されたらしいのだけど―――」
太宰さんが付け加えてそういうと突然、敦くんが椅子から転げ落ちた。その顔は何かに怯えているような、そんな顔。どうしたの、と私が尋ねると僕はこれで失礼します、と吃り、這いつくばりながら店の外に出ようとした。
そんな彼の様子を不審に思った国木田さんが待て、と敦くんの襟元をつかみ、持ち上げる。
「無理だ!奴…奴に人が敵う訳ない!」
「貴様、“人食い虎”を知っているのか?」
「あいつは僕を追っている!殺されかけたんだ!この辺に出たんなら早く逃げないと――」
そういいかけたところで、敦くんの体は床に押さえつけられた。うぐっ、と彼が呻き声がする。
「云っただろう。武装探偵社は荒事専門だと。茶漬け代は腕一本かもしくは凡てを話すかだな」
「まあまあ、国木田君。君がやると情報収集が尋問になる。社長にいつも云われているじゃないか?」
そこまで太宰さんがいうと、国木田さんはしぶしぶと敦くんを解放した。彼の腕を見ると、微かに赤くなっている。
「それで?君と『人食い虎』には何か関係があるのかい?」
「…うちの孤児院は虎にぶっ壊されたんです――――…」
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塩わさび - きつね?さん» コメントありがとうございます!その上、私なんぞに勿体ないお褒めの言葉まで添えていただけるなんて嬉しいです…! (2018年3月29日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
きつね? - 敦くん可愛すぎます!神ですね!!!最高!!! (2018年3月29日 20時) (レス) id: 80a3d77369 (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - 、さん» ご指摘ありがとうございます。すみません今気がついたので外しました (2018年3月27日 19時) (レス) id: a1a66c3c7b (このIDを非表示/違反報告)
、 - 実在する人物、団体、アニメキャラ等を扱う二次創作になりますのでオリジナルフラグ外して下さい。違反行為で違反報告の対象になります (2018年3月27日 18時) (レス) id: 7f197fb369 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:塩わさび | 作成日時:2018年3月27日 17時