人を殺して死ねよとて 3 ページ37
声のするほうをみるとそこには笑顔の谷崎くん。どうやらナオミちゃんよりも先に目を覚ましたようだ。
「谷崎さん!無事でしたか!!」
「おはようございます、谷崎くん」
「与謝野先生の治療の賜物だな」
谷崎くんは、おはよう、Aさんと返したあと照れ笑いする。みんなの反応に困ってるようだ。
「谷崎。何度解体された?」
「……四回」
「あー……」
「まだ良いじゃないですか!!私なんて……うぅ……」
「え?どうしたンです?彼女」
「それはだな…与謝野先生の特別コースを受けたらしい……」
四回、と答えた谷崎くんに対抗しようとしたが何の張り合いにもならない。むしろ嫌な記憶が引き出された。突然身震いし始めた私に、谷崎くんは疑問をもち国木田さんに問う。国木田さんが私の代わりに説明してくれた。事情を知ったらしい谷崎くんからは同情の目が向けられた。うぅ、その視線が痛い。
それから敦くんに、「敦くん。探偵社で怪我だけはッ対にしちゃ駄目だよ」とまで付け加えた。
「今回はマフィア相手と知れた時点で逃げなかった谷崎とAが悪い」
「何も言い返せません……」
「マズいと思ったらすぐ逃げる、危機察知能力だね。たとえば…」
話を聞いていた乱歩さんは人差し指をたてた。しばらく溜めて、「たとえば今から十秒後」とだけ口にする。直後、こつこつと靴の音がする。
「ふァ〜〜あ、寝過ぎちまったよ」
与謝野先生はそう屈伸しながら敦くんに話しかけた。その間にそろりと谷崎くんと乱歩さんと国木田さんの後を追うようにして扉に向かうが、A、と後ろから名前を呼ばれてしまった。しまった、気づかれた。
「アンタ今から何処か出かけるんだろ?ちょいと妾の買い物に付き合っておくれよ」
「えーと…」
別に与謝野先生との買い物は嫌いじゃない。楽しいし、頼めば私の物だって買ってくれる。しかし、その買い物の時間が長いのだ。どちらかと言うと、私は自分の感覚で買い物をしたい派なので、返答に迷う。
ふと強い視線を感じて視線の先をたどると、敦くんがこちらをガン見していた。一緒にきてほしそうな顔だ。あーあ、荷物もちだな可哀想に。新人くんを一人にさせるのも可哀想なので、二つ返事で返答する。
「それじゃあ、よろしくお願いします」
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塩わさび - きつね?さん» コメントありがとうございます!その上、私なんぞに勿体ないお褒めの言葉まで添えていただけるなんて嬉しいです…! (2018年3月29日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
きつね? - 敦くん可愛すぎます!神ですね!!!最高!!! (2018年3月29日 20時) (レス) id: 80a3d77369 (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - 、さん» ご指摘ありがとうございます。すみません今気がついたので外しました (2018年3月27日 19時) (レス) id: a1a66c3c7b (このIDを非表示/違反報告)
、 - 実在する人物、団体、アニメキャラ等を扱う二次創作になりますのでオリジナルフラグ外して下さい。違反行為で違反報告の対象になります (2018年3月27日 18時) (レス) id: 7f197fb369 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:塩わさび | 作成日時:2018年3月27日 17時