ヨコハマ ギャングスタア パラダヰス 6 ページ22
「アハハ、それは脅されましたねェ」
「笑い事じゃないですよっ」
谷崎兄妹のあとに続いて二列で道を歩く。現在、樋口さんが先頭を歩いて案内してもらっているところだ。
敦くんが国木田さんとの会話内容を話すと、谷崎くんに笑われ、怒っていた。しかし、次第にため息をこぼしていく。
「兇悪(きょうあく)なマフィアとかすぐに死ぬぞとか…、とんでもない処に入っちゃったな…」
「まァまァ。ボクでも続けられてるくらいだから大丈夫ですッて」
「そうそう。私も最初は不安だったけど、慣れたら大丈夫だよ」
「でも!谷崎さんやAちゃんも能力者ですよね?どんな力なんです?」
「や、あんまり期待しないで下さいよ。Aさんは戦闘向きですけど、ボクのは戦闘向きじゃないンですから」
「ええっ。そんなことないですよ谷崎くん。」
私の異能力は果たして戦闘向きなのだろうか。自分ではわからない。少なくとも、谷崎くんは私のものよりも応用が効くはずだから、暗殺とかに役立つと思う。……最も、武装探偵社はそんなことしないが。
「うふふ…。兄様の能力素敵ですよ。ナオミあれ大好き」
「止めなってナオミ………こん処で」
「あら、口応え?生意気な口は……どの口かしら」
「「……」」
ナオミちゃんが谷崎くんの唇に手を這わせる。その姿が妖媚で……見てるこちらが恥ずかしくなって反らした。敦くんも同じだったようで、顔が赤くなっていた。するとなにかに気がついたようでそういえば、と敦くんは切り出す。
「Aちゃんはなんで谷崎さんには敬語なの?歳も僕と大して変わらないのに……」
「谷崎くんたちのほうが私よりも入社したのが先なの。敬語じゃなくてもいいよって言われたんだけど、何だか失礼かなって。だからせめて名前だけでもってことで、くん付けで呼んでるんだ」
そこまで答えると、敦くんは複雑な顔をした。嬉しそうな、気難しそうな、そんな顔。
「……もしかして、『敦くん』じゃ不満だった?敬語のほうがいい?」
「えっ!?いや、そういう訳じゃ……!」
「着きました」
この場の空気に似合わない冷静な声によって会話が遮られた。当然、発したのは依頼人の樋口さんである。騒ぎすぎて、迷惑だっただろうか。
樋口さんに案内された所は薄暗い路地裏だった。こちらです、と樋口さんはさらに奥へと歩みを進める。その背中に騒がしくてすみません、と謝るといえ、大丈夫ですとだけ返された。
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塩わさび - きつね?さん» コメントありがとうございます!その上、私なんぞに勿体ないお褒めの言葉まで添えていただけるなんて嬉しいです…! (2018年3月29日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
きつね? - 敦くん可愛すぎます!神ですね!!!最高!!! (2018年3月29日 20時) (レス) id: 80a3d77369 (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - 、さん» ご指摘ありがとうございます。すみません今気がついたので外しました (2018年3月27日 19時) (レス) id: a1a66c3c7b (このIDを非表示/違反報告)
、 - 実在する人物、団体、アニメキャラ等を扱う二次創作になりますのでオリジナルフラグ外して下さい。違反行為で違反報告の対象になります (2018年3月27日 18時) (レス) id: 7f197fb369 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:塩わさび | 作成日時:2018年3月27日 17時