【超特急】無限大の可能性2

81番線 デート with タクヤ ページ33

コンコン。



扉を叩く音が聞こえ、読んでいた本を閉じて扉の方を見る。




『はーい。開けていいよ。』




ガチャ。



少し開いた扉から顔だけひょこっと出したのは拓弥だ。




拓「俺と今日デートじゃん。いつまで部屋にいるの。」




当たり前のように告げられた言葉に一瞬思考が停止する。



『へ？』





拓「んな間抜け面してないで早く来いよ。1人で出かけちゃうからな。」




少しムッとした顔をして扉が閉まった。




まずいまずい。
たくちゃんを怒らせると厄介だ。


あとでどんなとんでもない子供っぽいイタズラをされるか分かったもんじゃない。



急いで支度する。




最近みんな代わり代わり遊びに誘ってくれるなぁ…。
みんなの優しさについ幸せを感じてしまう。



あ、やばいやばい。そんな時間はなかった。




扉を開けてリビングに走っていく。




『おはよ！』



おはよー。おっす！はよー。
みんなから挨拶がかえってくる。




拓「……。はぁ。」




『え、なに。』




突然ため息つかれたんですけど！！
え、私の私服激ダサだった！？



首元に拓弥の手がかかる。



え、やばいそんなに殺意沸くほど！？




ぷち。





え？




拓「シャツのボタン。上だけズレてたよ。可愛いけどそういうドジあんまみんなの前でやんないで。」



そして敵視するような目でみんなを見渡す。



佑「えっ！僕気づかなかった！たくちゃんさすが！！」



なぜか冷や汗をかいた佑亮がヘラヘラ笑ってその場をしのごうとする。




『ど、どうしたの拓弥。』




拓「………っ。だから！！！Aが！可愛いから！！！」



そして私の手を握りリビングから走り去った。




あとからクスクス笑う声がリビングから聞こえてきたが、耳を真っ赤にした拓弥は焦ったように靴を履き家を飛び出した。




『今日はどこに行くの？』




覗き込むと、あら、いつものたくちゃん。



んー。と言いながら空を見上げる。




拓「なんか喉乾いたし、カフェでも行かね？」





カフェ。

朝からオシャレだなぁ笑




『いいね！行こう行こう！』




私が手を取って走り出すと




拓「あ、おい！笑
そんな急ぐなよ笑
転ぶよ？笑」




私に引っ張られるようにしてついてくる拓弥。




人って恥ずかしくなると走り出したくなるのかな…。



さっきの拓弥の気持ちが少しわかる。



拓弥にあんなこと言われてにやけが隠しきれない自分がいた。




今日はどんな一日になるのかな。

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