ターゲット19 ページ20
Kai side
光のない目で天井を見つめる拓弥に絶句する。
海「…拓弥…？」
絞り出した声は弱々しく、空間に溶けた。
そっと首の傷に手を伸ばす。
何度も刺されたであろう首の刺し傷に顔を歪めながら、俺は拓弥の痛みを知る。
海「あぐっ……っ…あ…」
一瞬にして息が出来なくなり、首元をドクドク血が波打つ。
手で首を押さえるとべっとりとした血がまとわりつく。
海「うぁっ……は……あぅ」
憎しみが、怒りが、悲しみが俺の心になだれ込む。これが…拓弥の痛み……。
深く深く喉元に突き刺さる痛みと胸を締め付ける痛みが俺を支配した。
でも、俺は絶対に逃げ出さないよ。
拓弥、全部もらうから。
拓弥「会えてよかったよ…。」
かすかに聞こえた拓弥の声を最後に俺は瞳を閉じた。
目を開けるとそこに拓弥の姿はなくて、安堵のため息をもらす。
そのとき自分の声が思うように出ないことに気づいた。
立ち上がろうとすると信じられないくらい重い体に驚く。
二人分の苦しみを背負った体はもうすでに悲鳴をあげ始めていた。
海「……っ。」
思うように歩けない自分にイライラしてくる。
「もうやめてもいいんですよ。現時点で二人は確実に幸せな人生を歩め」
海「俺は7人を救う。それ以外の答えはない。」
そう。
それ以外の答えなんてない。
例え体が壊れても、声が出なくなっても俺はAの元へ帰るまで絶対に諦めない。
這いつくばってでもみんなの苦しみをもらって、絶対に幸せにするんだ。
…Aを任せられるのは…あいつらしかいないからさ。
ほんとは一緒にいたかった。
でも、この願いを叶えるには代償が必要だ。
みんなはもう十分苦しんだ。
だから、俺一人でこのくらい持っていける。
廊下を足を引きずりながら歩き始める。
ふと、立ち止まって拓弥がいた場所に向かって微笑む。
海「俺も…拓弥に会えてよかったよ。今度はあんまやんちゃしすぎんなよ。」
届いたらいいな。
太陽にも、拓弥にも。
やっぱ、届かなくていいや。
あいつらきっとなんで、一人で逝っちゃうんだよなんて喚くな。
俺のことは忘れていいから。
お前らが笑っててくれればそれでいいよ。
頬から滴り落ちる雫の正体を知りたくなくて
俺は歩くスピードを少し早めた。
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ゆに(プロフ) - ノンノンさん» ありがとうございます(´；ω；｀) 頑張って更新続けていきます！ (2018年1月21日 22時) (
レス) id: 0eefd9f5bf (このIDを非表示/違反報告)
ノンノン - つつぎ気になります！更新お願いします！ヨロ〜 (2017年12月22日 16時) (レス) id: ac1fe2bbf6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆに(プロフ) - ひなたさん» ひなたさん！ありがとうございます（泣 少しずつですが更新していきますので完結までどうかお付き合い下さい！ (2017年12月2日 10時) (レス) id: 0eefd9f5bf (このIDを非表示/違反報告)
ひなた - 続き、楽しみにしてます！頑張って下さい！これからも、応援してます！！ (2017年11月30日 0時) (レス) id: 37009b37c4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆに(プロフ) - クソガキ推しさん» コメントありがとうございます(･_･、) ストーリーフィルムの感動を半減させることのないよう頑張りたいと思います！！ (2017年11月26日 0時) (レス) id: 0eefd9f5bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆに | 作成日時：2017年11月7日 13時
