No more cry 17話 ページ6
私がカイくんを推してたのも小さい頃笑顔が好き！って言ってたからなんだろうねってカイくんが笑う。
飛行機の中でカイくんは日本で起きてたことをたくさん話してくれた。
場を和ませてくれるカイくんに次第に胸が温かくなる。
日本に帰ってきた私にカイくんは言った。
カ「コーイチにはまだ会わない方がいいと思う。…ごめん。」
また、運命が私たちを引き裂く。
カ「！……泣かないで…。……やっぱり言う…。
もう、俺のせいで二人を離したくない…。
二人を守るためとか思いながら、結局話さなくていいことなんてなかったもんな…。」
現実はなんて残酷なんだろう。
カ「あの日コーイチが乗ってた飛行機……不時着で火災が起こったんだ。……コーイチは体の弱い人を助けてて逃げ遅れた。」
心臓の鼓動が速くなる。
涙が溢れ出す。
カ「……意識不明で見つかったコーイチは…1週間目を覚まさなかった…。目を覚ましたコーイチは……記憶喪失してたんだ。」
カ「俺らのこととか、日常のことは覚えてた……なのにっ、Aのことっ、なんも覚えてなかったっ！！！」
泣きながら話すカイくんの声が遠く聞こえた。
神様……私たちはきっと誰よりも強く愛し合ってたはずなのに…
どうして……さよならを選ばないといけないんでしょうか…
優しいあなたみたいになりたくて、人を助けることを生きがいにした。それにあなたが惚れてくれたことを知れただけでも嬉しい。
きっといつの日かあなたは誰かを愛すのでしょう。
そしたら私のこの想いも思い出に変わるのかな…。
数年後私は介護士になって慌ただしい日々を送っていた。
夜勤明けでフラフラしながら歩いていたら階段の段差につまづいて転ぶ…
「おわっ！！！危ないで！ってもう二人して転んでもうたな！あひゃひゃ」
ここは…あのライブに遅れそうな日にぶつかった階段
君と2回目に出会った場所
私はまた、君に恋に落ちる
コ「なんか落ちたで…」
君が拾い上げたのは私が首にかけてたネックレスから落ちた……プーさんの指輪
君の首元には……チェーンに繋がれたピグレットの指輪
コ「…忘れて…られへんな…」
くしゃと歪む君の顔。
私の顔もきっとひどい顔だろう。
『こーちゃん…好き。』
コ「俺も、好きやで。」
いつかまた逢えるよ。
《終わり》
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作者名：ゆに | 作成日時：2017年11月2日 20時
