実況しましょ、独壇で。 (ページ4)

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三基緊張絶句のご対面ページ4

実況を行う前の顔合わせの為、三人はとある喫茶店へと足を運んでいた。と、言うのも、Aにはオンラインの設備がないから実際に対面をしての実況を行いたい、と持ち掛けられたのだ。

顔出しをしていないのに顔を見せることには抵抗があったけれど、反面、彼女がどんな顔をしているのか、気になってもいた、から、断り切れなかった。いくら似顔絵をモチーフにしてあるとは言え、「なんか違う」と言われてしまっては立ち直れない。

「…Aってご近所さんなの？」

「さあ…特にその辺の話は聞いてねえけど…俺達の近所の老舗喫茶店指定してきたし、ご近所さんなんじゃねえの？ここ古いけど、テレビに出るほど有名ってわけでもないし。」

「まあ、ねえ。…んでも、可愛いよねえ。普段の振る舞いあんななのに、窓際に置いたシロツメクサを目印にするなんて」

「おんなのこーって感じだねえ。ますます素のAがどんな人なのか想像が付かない感じ」

兄者からダイレクトメールを返したとき、先に顔合わせの提案をしてきたのは彼女だった。顔合わせと、打ち合わせを兼ねたお食事会。指定してきたのは、県民なら分かるけれど、“有名”とは異なる、ある種の名の知れた老舗喫茶店。自分達も高校時代にたまに利用していた喫茶店だ。

一足先に到着して飲み物を一先ず頼んで話をしながら待っていると、不意にコートを身に纏った少女が歩み寄ってきた。もしや、と思ったものの、いやいや、と考え直す。その少女は、自分の中にあるAの人物像とかけ離れていた。

…かけ離れていた、のに。

「こんにちは。窓際のシロツメクサ、可愛いですね。」

「、…ありがとうございます。シロツメクサの花言葉、ご存知ですか？」

「もちろん。シロツメクサの花言葉は約束…ああ、でも。復讐、なんて花言葉もありましたね。」

声をかけてきた彼女に応対した兄者は目を見開いた。それは、そのやりとりは、ダイレクトメールでのやりとりをしていたときに決めた、お互いの合言葉であったからだ。シロツメクサに後者のような花言葉があることを知っている人間はそういない、まして…目の前にいる、少女のような年齢であったら、尚更。

彼女は、学校指定のコートを身に着けていた。学生鞄を肩に掛け、如何にも学校帰りです、という風貌をしている。彼女は柔らかに、幼げに微笑んでいる。

「…もしかして、」

「はい。私が、Aです。」