十三基 躓き一回怪我の素。 ページ14
「うーし、とうちゃぁく!ようこそ我が家へー、A!」
「ふわぁ…人のお家に入るの、初めてです。お邪魔します」
「ちょっとごちゃついてるけど、そこには目を瞑ってな」
「ふふ、大丈夫ですよ。生活感があるのって、なんだか落ち着きます」
私の家、メイドさんが片付けちゃうから無駄に片付いちゃってて、とAが零す。
そうしてその言葉に敏感に反応した彼らは、彼女を凝視した。
「…ちょっと前っくらいから予想してたんだけど…Aちゃんちって、お金持ち?」
「え、あ、いえ!多少裕福ではありますけど、多分おついちさん達が想像するほどでは…メイドさんと言っても、私の面倒を見るベビーシッターみたいなものですし」
「なんで家政婦じゃなくて敢えてそれをチョイスしたんだ…」
「私なんて、手ばっかり掛かっちゃって赤ちゃんみたいなものですよ。自分一人だと家の中の移動も大変だし、物に蹴躓いても反応し切れなくてこけちゃうし」
情けないです、とため息を零すAに、兄者と弟者が反応する。ぱっと振る舞いを変えた二人に、おついちは呆れたように苦笑した。
兄者は彼女の足取りを誘導するように手を引いているし、弟者は先を進んで邪魔になりそうなあれそれを廊下の端に押し付けて進む。
「足元気を付けてねA、結構床に物置いてあるから」
「だから常日頃から小奇麗にする癖を付けなさいって言ったでしょうに」
「これからそうする!」
「ふふ…大丈夫ですよ。普通に進むのも避けて進むのも大差ないですから」
大丈夫感そんなないしそれで安心しちゃうのは人としてどうかと思う、と、三人は心を通わせた。彼女はさもないことだと言うけれど、それでも良心が咎めてしまうのだ。
仮に彼女が物に躓いてこけでもしたらと思うと気が気じゃない、もし足に怪我をさせてしまったらとぞっとする。そのときはもちろん完治まで責任を取るけれど、なるべくなら用心するに越したことはない。
「弟者、俺A誘導するから先リビング行ってテレビの前片付けといて」
「あ、うん!そうするっ!」
「やれやれ…俺も手伝いに行った方がいい?それとも兄者のサポートしようか?」
「弟者手伝いに行ってやって、あいつ片付け得意じゃないから」
「知ってるよ。んじゃま、手伝ってきますかねー。」
リビングに行った弟者の後を追いかけておついちも小走りで向かう。
「そんな大袈裟な」とAが呟くも、「俺達にとっては大袈裟じゃねーの」と兄者が窘めた。
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優 - 夢主ちゃんがすっごく可愛いくてさらっと読んでしまいました!!更新楽しみにしてます!頑張ってください (2017年5月13日 15時) (レス) id: 8e722e74b9 (このIDを非表示/違反報告)
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