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-元チームメイトO- ページ4




「及川は高校どォすんの?」


 夕日の射し込む教室。奴は棒付きの飴をくわえながらバレーボールを触っていた。


「そんなの、ウシワカ倒すために青葉城西行くに決まってんじゃん」
「へぇ」
「へぇってお前……。そっちはどうすんの?」
「んー、俺も青葉城西かな」
「飛雄は連れて来ないでね」
「はは、どォだろうな」


 飄々と笑う奴を思わず睨むと奴はガリッと音を鳴らして飴を噛んだ。
 そして、憎たらしいくらい綺麗な笑みを浮かべて空を見上げた。


「及川のトス、最高だからなァ。他のセッターで満足できっかなァ」
「……そりゃドーモ。Aちゃんこそワガママだから他のセッターに相手してもらえんの?」
「それな〜〜。寛大な心を持ったセッターいないかなぁ」
「俺以上に寛大な心を持ったセッターなんていないよ」
「またまたァ、俺が一番心の狭いセッターです!って宣言していいんだぜ?」
「しねぇから」


 軽口を叩くとからから笑う奴はやっぱりなにを考えているのか分からなかった。
 食えない奴だがスパイカーとしての腕は全国にも通用するレベルだろう。スタミナ不足を克服すればU19日本代表も夢じゃない。なにかとトスに注文の多い奴の相手を出来るのは俺だけだと思う。だから、岩ちゃんと一緒に青葉城西に来てほしい。そんなこと言ったら揶揄われるから絶対言わないけど。


「飛雄ってさ、俺のこと大好きじゃん?」
「は?……うん、ソウダネ」
「アイツさ、いつも兄さん兄さんって俺の後ろついてきてさ、可愛いんだ」
「……」
「……アイツは、飛雄はいつか必ず俺を超える」


 いきなりなんの話だと思った。そんなにギラギラさせて、闘志を宿している瞳は初めて見た。試合でもそれぐらい燃えろよ。
 一つに結った襟足を触る横顔は弟と瓜二つだった。

 それから奴は教室まで迎えに来た彼女と下校したが、奴が帰ったあともあの瞳が脳裏に焼き付いていた。


-弟-→←-弟-



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作者名: | 作成日時:2019年8月7日 23時

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