-雛鳥と黒鳥- ページ26
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白鳥沢との試合の前に、トイレに行こう。
トイレが危険人物と遭遇する場所だとは知っていたが、背に腹は替えられぬ、って言うだろ!
扉に手をかけようとしたとき、先に開いた。そう、手をかける前に開いたのだ。
中から出てきたのは、チームメイトの影山飛雄。に、よく似た人物。
「あれ、烏野……」
「オッ、オニイサン!!!」
「は?」
「ヒイッ!」
歪められた顔に背筋が伸びる。目を細めてつま先から頭まで見たあと、妖しく笑った。
「ああ、変な速攻使ってくるヤツだろ」
「しっ、知ってるんすか!」
「対戦相手くらい調べてる」
「じゃああの、影山のことも……」
「飛雄ねェ」
そのままおれを押し退けて、一歩、振り返る。
「ちゃァんと伝えとけよ?お前じゃ俺には勝てないって」
見下ろす目にゾッとした。肉食動物が、獲物を狙っているような目。
だけどつい、反射的に口を切っていた。
「ま、負けません!白鳥沢を倒して、必ず全国に行きます」
「……ふぅん。ま、頑張れよ」
影山に、よく似ている人物。でもやっぱりどこか違っていて、むしろ全く似ていないとも思う。
ジャージを翻して歩く背中はすこしだけ、小さく見えた。
‥
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作者名:幸 | 作成日時:2019年8月7日 23時