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-怪童- ページ23




「Aは身長が縮んだか?」
「は!? なに急に悪口?」


 寮の食堂で声を荒げたのは白鳥沢のバレー部が誇るイケメン(天童談)、影山Aだった。牛島が唐突に発した言葉に、天童は咽るほど笑っている。


「中学の頃は今ほど身長差はなかっただろう」


 そう言われたAは苦虫を噛み潰したような顔をしている。

 監督が求めているのは高さとパワー。中学時代からパワーに長けていたAだったが、高さは今ひとつといったところだった。しかし中学三年生。Aも監督も高校の成長期に期待した。目指せ185cm、と謳ったAだが、Aの成長期は見事期待を裏切ったのだ。


「中学からほとんど身長が伸びてねんだよ、ほっとけ」
「弟とどちらが高い」
「知らね。三年前は俺の方が高かった」
「そりゃあ中一と中三じゃだいぶ違うもんな……」
「Aクン、及川との身長差も開いたでしょー」
「うっせ」


 Aは不機嫌な様子でスプーンを咥えた。
 第一中学では高い方だったんだぞ。四捨五入したら180なんだから別にいいだろ。なにかで飛雄は180あるって見た気がするけど気のせいだ気のせい。


「どうせ俺は成長してねぇよ」
「まあまあ、そんなムキになんなって」
「いや、お前は成長している」


 牛島の言葉にぴたり、と動きが止まる。


「……なんだよ、ゴキゲン取り?」
「中学の頃に比べテクニックやスタミナを中心にお前は成長している。パワーだけで押し通していたスパイクも角度のついた良いクロスを打つようになった。高校に進学してから見たお前は見違えるほどだったぞ」


 急な褒め言葉のオンパレードにAは思わず手で顔を覆って俯いた。ため息混じりに「男に褒められても嬉しくねぇよ……」と言う彼に対して「すまない。しかし事実だ」と伝える牛島に、Aはもう一度大きくため息をついた。


 これだから天然の相手は嫌なんだ……。



2019.08.13 HAPPY BIRTHDAY 牛島若利

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作者名: | 作成日時:2019年8月7日 23時

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