-後輩G- ページ11
‥
｢中学生？｣
そう声をかけてきたのは、俺よりも少し背が低いけど大人っぽくて、なにより見たことのある顔だった。
影山A。雑誌に載っていた�爛屮薀奪�・スワン�瓩澄�細身の体からは信じられないほどパワーを宿したスパイクを打つという。
｢こ、今度一年になる五色工です！｣
｢へぇ、こんなとこで迷子？｣
｢まっ、ち、違います！｣
｢うち広いから曖昧な記憶じゃ辿り着けないと思うけど｣
そう言われ思わず言葉を失ってしまう。ああどうしよう。一度否定した手前案内を頼むなんてカッコ悪い。図星で吃ったし。
そんな俺を見てその人はくすりと笑った。
｢ジョーダン。案内するって。俺二年の影山Aね｣
｢はい！ 影山さん！｣
｢Aでいーよ｣
｢Aさん！｣
けたけたと笑うAさんの背中を追いかけ体育館に向かった。
｢ちわーす。遅れてスミマセン｣
体育館の扉を開け、適当な謝罪をしたと思えば凄い勢いで飛んでくるバレーボール。それをいなすAさんに、状況が把握出来ず目を白黒させてしまった。
ボールが飛んできた方向を見ると監督が眉を釣り上げてこちらを見ていて、情けない声が口から出た。
｢てんめぇ次遅刻したら襟足引っこ抜くって言っただろーが！！！｣
｢いやいや俺は迷子の新入生を連れてきただけですって！ むしろ褒められることでしょ！！｣
｢言い訳は聞かねぇ！！！｣
｢ウッソでしょ！？｣
監督が啖呵を切ると視線はこちらへ向く。目が合って肩が跳ねたのは明らかだったろう。
でも監督は何も言わずにAさんに視線を戻した。
｢A、五色を着替えさせたらそのまま二人で外周行ってこい｣
｢更衣室ですか？部室ですか？｣
｢どっちでもいい。荷物は体育館の隅に置かせろ｣
｢了解っす。工、行こう｣
｢は、はい｣
二人で外周って言った？ああ、もっと早く迷子を認めて人に訊けば良かった。なんで初日から外周なんだ。
誰にもバレないようにそっとため息をついた。
‥
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作者名：幸 | 作成日時：2019年8月7日 23時
