Her Broken Hearts. (ページ37)

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＊初デートのお話＊
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土曜日の夕方、Aの家の前に車を停めた。

いつも通り約束の５分前に現れたAは

彼女らしいスタイルの服装をしていた。

昨日の夜、突然Aから電話が来たかと思えば

第一声、

「廉！明日の服どうしよ！！」

だった。

楽しみにしてくれていることが

その一言だけで伝わってきて、思わず頬が緩んだ。

『いつも通りすきな服着ておいで。』

「もぉ！！わかってないーーー！！！」

そう言って、頬を膨らますAの顔が浮かんだ。

そして、なぜか服が決まり終えるまで繋がっていた

電話越しに、バタバタと忙しないAの様子。

そして、突然、その足跡が止まると同時に

彼女のうるさい口が閉じた。

電話から伝わる音しか情報がない俺は

もはや、もう、ちんぷんかんぷんで。笑

「ねぇ、廉…」

『なに』

黙って耳をすましていれば

すごく深刻そうな声が聞こえてきた。

何事かと思えば

「…、明日、、、"フル装備" …？？」

『…っ、ｺﾞﾎｯ…ｺﾞﾎｯ…ｺﾞﾎｯ…っ、、、』

突然変なことを聞いてくるから

思わずむせてしまったのだ。

「…おまっ、、、俺に聞くなや、笑」

『だってぇ…』

「…まだ手ぇ出さんよ。

言ったやろ、ゆっくり慣れればええって。」

『…新しい下着買っちゃった。』

「お、まじか…笑、じゃあつけてきて？

Aが俺のために選んでくれたの

着けて来てくれるだけで嬉しいから。」

なんて、前日から馬鹿なやりとりをしていたのだが

今日、彼女はその下着をつけて来たのだろうか。笑

「…ん、なに。」

車をなかなか出発させず、Aを見つめる

俺の視線に気付いたのか少し顔を歪めた。

『いや？言ってた下着、つけてんのかなーって。笑』

「…っ！ヘンタイ！！！！」

『お前が新しい下着買ったとか言い出したんやろ！』

「知らない！もういいから早く出発してよ！」

出だしから絶好調な俺たちは

その後も超絶どうでもいい話や優太の話をしたり

音楽を聴いて口ずさんだりしながら

付き合う前となんら変わらない雰囲気の中

休日のドライブを楽しんでいた。

Aが楽しそうに笑うから、俺はそれだけで満足。

少しおしゃれな雰囲気の通りを走っていれば

Aは黙って外を眺めていた。

俺は、赤信号が青に変わる瞬間を狙って

Aの左手を、右手で掴むと

そのまま俺の膝に置いた。

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