Her Broken Hearts. (ページ35)

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18時45分、家を出る。

公園までは徒歩でたったの５分しか掛からない。

18時50分、ベンチに着けばAはまだ来ていない。

彼女は必ず約束の５分前に来るから。

18時54分、もうすぐ来ると

胸がドキドキして、ソワソワして落ち着かない。

そして、18時55分。

ジャリジャリ…と、誰かが歩く足音が聞こえた。

けどそれは、近づく前に止まる。

…不思議に思って音がした方を向けば

…Aが、泣きながら俺を見つめていた。

俺がゆっくりAの方へ足を進めれば

彼女は、足がすくんで動けないといった様子だった。

完全に、Aの目の前まで辿り着き立ち止まると

今度は下を向いて静かに大粒の涙を流し始めた。

『…、何でもう泣いてんねん、早いわ…笑』

少ししゃがんでAの顔を覗いた。

その瞬間、流す涙が嬉し涙の方だと気づいた俺は

そっとAを抱き締める。

今回は、言い訳なんて何も必要ない。

『やーーーーっと、来てくれたわ。笑』

「…いっぱい、待たせてごめんね。」

『ほんまよ？笑』

「…廉。」

手持ち無沙汰だったAの腕が、俺の腰に回る。

柔らかくて優しい、初めての感触。

Aが俺を男として、初めて必要としてくれてる。

『A…俺はもうお前の彼氏って思ってええの？』

俺がそう聞けば、彼女は俺の腰に回す腕を強めた。

「本当に、私でいいの…？」

『お前しか要らん。』

というより、俺はそもそも

お前のことしか好きになったことないんやし。

Aは顔を上げて、俺を見つめた。

「やっぱり、バージンだよ？」

『最高ちゃう？』

「ギューするだけで固まっちゃう。」

『ん？…今そうでもないやん？』

「チューも震えちゃうかもしれない。」

『そんなん、ゆっくり慣れたらええんよ。』

「手を繋ぐのでさえ、緊張しちゃう。」

『可愛いもんやな。』

「あと…

『もううるさい。

A以外考えられへんって言うてるやろ。』

そう言って俺は

目の前にある、うるさくて小さな可愛い唇に

そっと自分のそれを重ねた。

ゆっくりその唇を離すと

こちらを見るAと視線が交わる。

『あれ？案外いけるやん？笑』

「あれ？いけたね？笑」

『何やねん、ちょっとは緊張しろや笑』

「してるよ？ドキドキしてるもん」

『ほんまお前…、』

俺は、もう一度彼女にキスを落とし

そのまま強く抱きしめた。

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