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『…ヴッ、、、頭イッタァ…、、、』
完全に二日酔いであることを自覚して目覚めた朝。
家まで帰ってきた記憶が一切ないけど
昨日の服のままだが、一応ベッドで寝ていた。
昨日の三次会、遠くにいる廉を横目で見ていれば
たくさんの "ダッサイ女" に囲まれていた。
ほんの少しの反発心で
いつもは廉が飲ませてくれなかったお酒を
昨日、1人でたくさん飲んだんだ。
そんなことをしても何の意味もないのに。
「そんなに好きなら、変なプライドは捨てて
ド派手に彼を奪いに行っちゃえばいいのに。笑」
と、マスターにも言われてしまった。
「当たり前のことが、いつ当たり前じゃなくなるか
なんて、誰にもわからないんだから。」
『…マスターも何かあったんですか?』
「さぁ…どうかな?でも、俺から言えることは
好きなら絶対、手放しちゃダメ。ってことかな。」
痛いくらいに突き刺さったその言葉を思い出しながら
ベッドから降りれば、机の上には水と薬。
そして…、殴り書きされたメモ。
"ドレスのクリーニング忘れんなよ"
汚い字が浮かぶそのメモは
誰に書かれたのかなんて、確認しなくてもわかる。
ここにドレスのことを書くような人は、1人だけ。
『……廉。』
廉が、私をここまで連れて帰って来てくれたんだ…
女の子たちに囲まれている廉を目の当たりにして
私のことなんてもうどうでもいいのかもしれないと
卑屈になっていた自分が恥ずかしい。
とりあえず、紫苑と優太に電話して
酔い潰れてしまったことを謝る。
「A、もうそろそろいいんじゃない?
…廉くんのこと。もう答え出てるんでしょ?」
紫苑のいつになく優しい言葉が
私の心に貫通するようだった。
紫苑やマスターの言葉に背中を押され
私は、約1年越しに、彼に連絡する。
『廉、会いたい。』
たった一言、それだけを添えて。
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作者名:Raine. | 作成日時:2020年5月27日 17時