Her Broken Hearts. (ページ4)

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紫苑は、眠った優太に連続ビンタを喰らわせ

彼女が迎えに来たことに気づいた優太は

「まじごめん！もうしないっ！命かける！」

と、連呼しながら紫苑に引きずられて行った。

『私にも若干の非があるよね…アレ』

「ま、俺もお前の相手するの

優太に擦りつけてるから、なんとも言えん」

『なによ、私のこと擦り付け合わないでくれる？』

「ハハハハハッ…！ヒッヒッヒッヒッ…」

顔には全く出てないけど

廉もそれなりに酔っ払っているのか

またいつもの独特な笑いが止まらなくなっている。

ほんと、どこにツボあんの？って感じ。

私は就職すると同時に一人暮らしを始めたのだが

家の場所が廉とかなりご近所さんなので

３人で集まったあとは必ず一緒に帰る。

それも、物件を探していた私が

何かあった時に当てにしようと

わざと廉の家の近くを選んだのだ。

当初は

「こっち来んなっ！笑」

と、笑っていた廉だけど

一緒に帰った日は決まって

私を家まで送り届けてくれる。

意外と優しい奴なのだ。

「お前さぁ、今で何回振られてんの？」

この日もまた暗い夜道を2人で歩いていたのだが

驚くべきことに、廉の方から

私の失恋ネタをぶっ込んで来た。

最近となれば、これほど珍しいことはない。

『ついに廉も聞いてくれるのっ？笑』

「ウザい。いいから応えろや。笑」

私のウザ絡みに、お口が悪い廉も

今となれば見飽きた光景だろう。

廉も、私のウザ絡みにはとっくに飽きている。

『んー、まだ19回目なんだよなあ…』

「……はっ？"まだ"なん？」

『え、なに？それより多いと思った？』

「いやちゃうて、それ言うなら "もう" 19回目やろ」

数々の失恋遍歴により、多少ズレた私の感覚は

廉からしたらおかしくて仕方がないようだった。

でも私がこう考えるようになったのにも

それなりの理由があることを理解してもらいたい。

『私、20回失恋したら今度こそはって思ってるの！』

「…意味わからん。笑」

『これだけ上手くいかないとさ、逆によ？

多分とんでもない王子様が私を待ってる気がする！』

「…お前それ、酔っ払ってるから言うてる？笑」

『いいや？私は至って真面目です。』

私は本気で言ってるのだが、廉はあと少しで

本当に引いてしまいそうな表情だった。

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