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『…ん？なにこれ？』
ある日、仕事から帰ると
郵便受けにポツンと入っていた上質なカード。
" 〜 Wedding Invitation 〜 "
『紫苑と優太、結婚するの！？！？』
迷うことなく " 出席 " に丸をつけた私は
その場で紫苑に電話した。
『もしもし紫苑？おめでとう…っ！！！』
「ふふ(笑)ありがと。」
『絶対行くよ…っ！幸せになってね…！』
「うん、あんたもね。笑」
『え？』
「もうすぐ１年でしょ。
廉くん、優太の方で来てくれるみたいだから。
そろそろ、ちゃんと答え出してあげなよ？」
切れた電話、結婚式の招待状
それらを前にして、テーブルの前に座り込む。
" もうすぐ１年でしょ。"
廉は今でも私を想っていてくれてるのかな。
私のこと、待っていてくれてるのかな。
どんな気持ちでいるんだろう。
私はあの日から、廉のことを考えなかった日はない。
むしろ、私の中でどんどん廉が大切になって
辛いとき、何度、廉に連絡してしまいそうになったか
そのたび、強くならないとって自分を奮い立たせた。
廉と対等になりたかった。
今までどれだけ廉に助けられてきたか。
どれだけ廉に守られてきたか。
失いかけたあの日、苦しいくらい思い知って。
守られてるだけじゃダメ。
私も同じように廉を守れる人になって
廉がそうしてくれたように、私も廉のことを
無条件に愛せるように強くなりたくて。
結局、あのとき廉と離れることを選んでしまった。
後悔はしていない。
けれど、タイミングを掴めずダラダラと
今もまだ廉を待たせてしまっている。
もしかしたら他の子と付き合ってるかも
と思ったりすることもあるけど。
廉は一度たりとも約束を破ったことがないから
だから、気付けば私の中で彼が１番になっていた。
廉なら信じられる。
わかっている。
ただ、勇気が足りないだけ。
昔、着てたドレスを引っ張り出す。
恋愛に焦っていた頃の私が選んだもの。
超絶ダサい、どこにでもある、ザ・清純派みたいな。
『…買いに行こ。…ついでに、エステも予約…』
廉だけは、私の服を褒めてくれていた。
" 好きな服着てるお前の方が断然可愛い "
好きな人に振り向いて欲しくて買った服を
着ていた日に言ってくれた言葉。
廉に次会う時は、少しでも綺麗な自分で会いたい
そう思ってしまっている時点でとっくに
私にとって廉は特別なのだ。
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作者名：Raine. | 作成日時：2020年5月27日 17時
