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『お前に幸せになって欲しいねん、俺は。』



本当はずっと。ずっと昔から

Aのことは俺が幸せにしたいと願っていた。


けれどその本心は、優太でさえ知らない。

誰も知らない、俺だけの秘密だった。






「幸せってなに?」


『ちゃんと自分のこと大事にしてや』


「私だって…、ちゃんと女になりたい」


『そんなことしたって幸せにはなれんから。』





テキトーに弄び回ってみても

俺にとっての最優先事項はいつだってAだった。


だから、彼女なんて作ろうとも思わなかった。





「その辺の女の子たちだって十分幸せそうじゃん」


『あんなん、いつか後悔するんやって。』


「わかんないじゃん…っ、実際、廉に抱かれた子も

1回だけってわかってても幸せだったって…っ、」


『…、、、俺が後悔してるから。』





俺の気持ちなんて知るはずもないAは

どんどん他所で好きな人を作っては振られ

作っては振られ…作っては振られ…と

俺が気持ちを伝えられない間に19回目も失恋。


見事なほどに、勝手に振られて来るAを見て

俺は密かに安心していた。



そして、振られた本人も案外ケロッとしてるから

彼女が本当はもうとっくの前からボロボロなんだって

俺は、気付くことができなかったんだ。


ずっと近くで見ていたはずなのに…。





「私はそんな1回だけの幸せすら知らないの…っ!」


『そんな1回すらどうでも良くなるくらい、

ほんまに大事な人ができた時に後悔したって

もう遅いんやぞ…っ!』





俺が何を言ってもきっと、もうAには響かない。

それほどまでに彼女の心は壊れてしまっていた。



それならいっそバラしてしまおうか。

俺がずっと秘めていたこの気持ち。



関係が壊れることを恐れてずっと言えなかった。

素直にぶつけられるAが怖かった。





…でも、もう。これしか方法ないやん…っ、


だからもう、終わらせよ。

このダラダラ続けてきた "トモダチ" を。




「…大事な人なんて要らない。要らないの…っ、

好きな人も作らないし何も望まないから……ンッ‼‼」





…そんな苦しい顔をして

思ってもないようなこというなや…っ、、、



俺は泣き喚く彼女に、覚悟を決めると

半ば強引に、キスをした__________









けれど…





『……、ごめん。こんなことさせて…っ、』





冷静さを取り戻したAの言葉は

残酷なことに、さらに俺を苦しめるのだった。





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作者名:Raine. | 作成日時:2020年5月27日 17時

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