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私が、全て初めてであることを打ち明けると
拓磨くんはもちろん、驚いた表情を見せた。
けれど、それは次第に笑顔に変わり
「俺が初めてってこと?…嬉しいな!」
と、なぜか喜んでくれたので私も安心した。
恥ずかしくて、コンプレックスであることを
認めてもらえたことは私にとっても嬉しかった。
それからしばらくは何もせず
2人でゆったりとした時間を過ごして
それでもピッタリとくっついている感触に
私はずっと緊張しっぱなしで
25歳で恋愛経験ゼロだった私にはやっぱり
初回デートでいきなりおうちっていうのは
あまりにもハードルが高すぎた。
不意に視界が暗くなったと思えば
拓磨くんが私のカチコチに固まっていた体を
包み込んで、"そういう" 雰囲気を作り出す。
私も、覚悟を決めないといけないのはわかっていた。
だけど、心も体も、このスピード感に追いつかない。
どうしようかと思っていれば、突然
何か柔らかいものが唇に触れて…
『……んっ!!!』
驚いた私は、彼を突き飛ばしてしまった。
『…あっ、、、ご、ごめんなさい…っ!』
「大丈夫だよ、突然でビックリしたよね。」
拓磨くんが怒ってないことにホッとしていれば
彼はまた、すぐにリベンジを試みて来た。
余裕のある彼とは真逆で、切羽詰まった私は
目をギュッと瞑って、その唇をただただ受ける。
ソフトなキスだけど、思っているより長くて
私は、唇をムッと仕舞い込んでしまうという
失態を犯してしまったのだ。
「…、、、ごめん…っ、いやだった?」
『…う、ううん…っ、ごめんね…っ、』
こんなヤラカシまくりの残念女相手にも
優しくしてくれる拓磨くんに対して
有り難さと同時に申し訳なさを感じてしまった私は
勇気を振り絞って、拓磨くんに抱き着いた。
だけど、生憎なことに、私のその行動は
"覚悟ができたから誘っている" と
彼に勘違いをさせてしまったらしく
そのままソファに押し倒されてしまった。
『…えっ、、、』
「ん?なに?…そういうことでしょ。笑」
その瞬間、拓磨が野獣になり変わった男のようで
とてもじゃないけど、怖いと思ってしまったのだ。
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作者名:Raine. | 作成日時:2020年5月27日 17時