Her Broken Hearts. (ページ12)

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「でねでね！初デートってその…

どこまで準備して行ったらいいのかな…？///」

まさか、Aにそんな相談をされる日が来るとは

思いもしてなかった俺は、未だに頭が追いつかない。

それに、コイツがこんなにも恥ずかしそうに

女の顔をしているところを初めて見て

多少なりとも動揺してしまっているのも事実だ。

「そりゃあフル装備でしょっ！！！」

と、目を輝かせている優太は

Aのことを喜んでいるのか

それともこの恋愛話を

男同士で話す下ネタのようなノリで

ただ楽しんでいるだけなのかは微妙なライン。

『そいつ、お前が処女なん知ってんの？』

優太の "フル装備" を聞いて、おそらく頭の中で

"初体験" の文字が浮かんでいるであろうAに

どストレートな質問をぶつけた。

「…ヴッ、、、知らない…、、。」

「え！まじっ？！言った方がいいよ、まじで！」

「…恥ずかしくて、言えない…っ、、、」

失恋経験は人一倍でも、恋愛スキルは皆無。

彼氏に何も言えず、言いなりになることしか

できなくなるAは目に見えている。

つまり、そんなんまた傷付いて終わりやぞってこと。

『初めてなんか怖いに決まってんやから絶対言えよ。

それで、待ってくれへんような彼氏ならやめとけ。』

「そうだよ！A！いくら男でも

好きな人のためなら我慢だってできるんだからっ！」

「う、うん…っ…///」

果たして、Aは "残念すぎる30歳バージン" を

回避することはできるのだろうか。

俺は逆に、そんな絶滅危惧種的な女である自分を

これほどまでに恥ずかしがることはないと思うけど。

「いやぁ！めでたい！今日は飲もう！！」

「飲もうっ！！」

『お前はひと口だけやぞ！！！』

「ちぇーーーー」

結局またいつものように

優太は紫苑に引きずって帰ってもらい

俺はAと夜道を歩きながら酔いを覚ます。

『結局俺は、いつ落ち着けばええんやろな？』

「はい？笑」

『お前、19連敗止まりやぞ？笑』

「もお、まだそんなこと言ってんの？笑」

『まだまだ遊べってことなんやろなあ～』

「バカじゃないの。笑」

やっぱり俺は、浮かれているAに

"おめでとう" のひと言を伝えることができないまま

もうすぐAの家に着いてしまいそうだ。

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