バレンタインデー。エンマ編 ページ9
「エンマ君っ。……ってこの大量の箱は……。」
「あぁ。チョコレートとか菓子だなっ。」
二カッと笑いながら言うエンマ君。
モテモテですか。
「エンマ君モテモテだねっ……。」
「ん？そうか。そういえば、Aは誰かに菓子とか作ったのか？」
「んっ！？えぇーとっ、友チョコだけかなぁ……」
私はそっと箱をエンマ君から見えないように隠した。
だが、
「ん？その箱、俺にか！？」
いつの間にか背後に回られ、箱を見られている。
パステルピンク色の箱……
「えぇっとね、これ、は…」
「ん？」
「そうそう！エンマ君にだよ〜！いつもいつもお世話になってるし？友チョコだよ！これからもよろしくお願いします！バトルでも大活躍なエンマ様っ！」
「おう！ありがとな！友チョコって他に誰かにあげんのか？」
他は女子にしかあげないんですけど……
……男子はエンマ君にしか作っていないんだけど…でもそれって本命ってバレちゃう！？
それはやばい……
「えぇっとね、えんらえんらさんに、ふぶきちゃん、百鬼姫ちゃん、椿姫ちゃん、キュウビくんに、オロチさん、土蜘蛛さんと…他にもえぇっといっぱいいるよ！」
めちゃくちゃ言ってしまった。
後で徹夜で作らないと……。
「ふぅん。」
エンマ君が目を細めた。
「オロチとかにも、こう、ピンクの箱でラッピングすんのか？」
「うん。」
「嫌だなぁ。」
「えっ？」
「なぁ。」
エンマ君の顔が目の前にある。
「っ……！？エンマ君っ……。」
そっと唇に当たった。
「他の男に渡す罰。」
エンマ君は、私から離れ、部屋から出て行った。
「ファーストキス……。エンマ君から。」
唇を押さえて私はへなへなとその場に座り込んだ。
「くぅー……好き……！エンマ君……」
その声を聞かれていたなんて私はその時知らなかった。
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