自問 ページ33
ブロリーは自室のベッドに横になっていた。
あれからのことは、ブロリーはあまりよく覚えていない。
ただ父親がやってきて、コントローラーを翳して自分に対し何かを行なったことは判っている。そうした瞬間、強い何かが頭の中に流れ込んできて、彼の思考を上書きしていった。
そこまでの制御が必要になったことは最近ではあまりなかったことだ。自動で行われる制御と違って、翳して制御するのはパラガス自身の気を使うことになりかなり強引な手段になると以前に説明をされたことがある。
『これはお前のためなんだ、お前はその力を制御できない。だから俺が制御するんだ。じゃないとお前は普通には生きることはできない。その力は危険なんだ、わかるな、ブロリー』
制御装置を付けられたあの日から、父親はもう息子を息子と思っていないことは判っていた。否、もっと前からそうだったのかもしれない。父と子としてのコミュニケーションは既に取れなくなっているとブロリーは思っている。
乾いた笑いが出てきてしまう。
人並みはずれた長身である彼のために父親が特別に誂えたベッドでごろんと身体の方向を変える。壁のほうに横になってみれば、壁からのすきま風が心地よく足元を冷やす。が、
「ウェ…」
感情の混濁が激しく精神的な消耗が激しい為、ベッドサイドにおいているバケツに時折吐いた。
自分が一体何をしたかというのは覚えている。ただ、その時どのような感情によってそれを行なっていたかはもうすでに覚えてはいない。
虚しいものだ、と彼は思った。
しかし一連の出来事で自覚したことがはっきりとある。どういう感情を伴っているのかはわからないが、自分はあの女執着し、何かを期待し求めている。
たかだかパンを寄越してきただけのあの女に何を執着することがある、餌付けでもされたのか、と自嘲する。施しを受けて絆されたのだろうか。特にさして特徴があるわけでもない唯の脆弱な未亡人だ。
それでも。
もっと、話をしたかった。
ーーーそのためには何をすればいい？
「ブロリー、大丈夫か」
父親が息子の様子を伺いに来た。一連の出来事からどれだけ時間が経過しているかはわからない。今まで以上に薄ぼんやりとした意識の中に居たので、時間の感覚が薄れてしまっていた。食事と排泄は行なっていたことだけは覚えている。
「そろそろ意識もしっかりとした頃じゃないのか？」
「…」
「お前に人の世話をしろなどといった俺が馬鹿だった。すまなかったなブロリー」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 22人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ストロー(プロフ) - はなさん» そんな風におっしゃっていただけるとすごい嬉しいです…！現在停滞しておりますが頑張って完結させたいと思います！本当にありがとうございます！ (2019年6月24日 13時) (
レス) id: 3967770775 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 文章がとても綺麗で感情が伝わって来て大好きです。陰ながら応援しています！ (2019年6月17日 0時) (レス) id: acff344607 (このIDを非表示/違反報告)
みさき - ありがとうございます！ぜひこの作品を完結させて下さい！ (2019年4月27日 18時) (レス) id: 20e162e3ba (このIDを非表示/違反報告)
ストロー(プロフ) - みさきさん» これが完結したらそうですね〜〜〜！！何も考えていませんでしたが何かでブロリー小説をかけたらいいなって思ってます！！ (2019年4月27日 15時) (レス) id: 3967770775 (このIDを非表示/違反報告)
みさき - ストローさんはこれが完結したら次は何をかくのですか？パラガス書いてくれますか？ブロ×パラでパラ受けのもn……ゲフンゲフン。 またドラゴンボールを書いてくれると嬉しいです。 (2019年4月23日 21時) (レス) id: 20e162e3ba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ストロー | 作成日時：2019年3月12日 22時
