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収束 ページ16

肩に続き腕までもが激痛に襲われ、Aは今度こそ本当に気を失いかけていた。悲鳴を上げる気力も残っていない。男から溢れ出る殺意はまるで鞘のない刃物で、彼女の全身を刺している。もはや痛みは肩と腕だけではなく、全身にまで広がっていた。

「ブロリー!!やめるんだ!!」
突然響いたパラガスの声がAの遠ざかっていた意識を呼び戻す。男はブロリーの目の前に立ち、自分の息子の様子を見、叫んでいた。
「ぐうう、ぐううう!!」
ブロリーはパラガスが現れてから一層激しく唸り声をあげた。相当に苦しいのか、掴んでいたAの腕を弾くように解放した。
「やめないか!落ち着くんだ!」
ぎろり。殺意の矛先が父親に向いた。パラガスは右手に持っている何かをブロリーに翳した。するとそれは彼の手の中で緑色に強く光り輝き、彼の息子の額にある装飾品と連動して点滅をはじめる。それまでブロリーの周りを嵐のように吹いていた風が収まっていく。周囲の空気が緩やかになっていくのを肌で感じるようになった。
「パラガス、さん…」
Aは這々の体でパラガスに声をかける。しかし今の彼は彼女を意に介している余裕はないようで、目をやることもなく未だ苦しみもがくブロリーと向き合っていた。

パラガスが呻き苦しみ膝をついた。彼の息子は、まるで何もなかったかのようにその場に立ち尽くしている。
「くっ…」
相当体力を消耗したのか、パラガスの息が上がっている。ではブロリーはどうかというと、先ほどの殺意はすっかりなりを潜めていた。髪や瞳は黒髪に戻り、いつもの陰鬱な顔に戻っている。どこか上の空だ。

「貴女は、貴女は何をブロリーに言ったのですか!」
「何、も…ただ普通に、質問や会話をしていただけです…」
「くそっ、一緒に置いておくのは間違いだったか。見当違いだったな…」
パラガスが憎々しげに呟いた。
「ブロリーが粗相をいたしました。…ブロリー、自分の部屋に戻るんだ」
パラガスは立ち上がりすっかりおとなしくなった息子の背をひと撫でした。ブロリーは「はい」と従順な返事をし、ふわりと身体を浮かせて宮殿のほうに飛び立っていく。
今までの流れでキャパシティオーバーしている脳は、空が飛べる人間がいることにはすでに驚かなくなっていた。
「貴女は私が部屋まで送ります。医者も部屋まで呼びましょう」
そう言いながらパラガスは手を差し出してきたので、痛みがない方の手でそれを掴む。
パラガスの手は汗でじっとりと湿っていた。

その男の苦労を→←殺意の裏に



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設定タグ:ブロリー , 夢小説 , ドラゴンボール   
作品ジャンル:アニメ
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ストロー(プロフ) - はなさん» そんな風におっしゃっていただけるとすごい嬉しいです…!現在停滞しておりますが頑張って完結させたいと思います!本当にありがとうございます! (2019年6月24日 13時) (レス) id: 3967770775 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 文章がとても綺麗で感情が伝わって来て大好きです。陰ながら応援しています! (2019年6月17日 0時) (レス) id: acff344607 (このIDを非表示/違反報告)
みさき - ありがとうございます!ぜひこの作品を完結させて下さい! (2019年4月27日 18時) (レス) id: 20e162e3ba (このIDを非表示/違反報告)
ストロー(プロフ) - みさきさん» これが完結したらそうですね〜〜〜!!何も考えていませんでしたが何かでブロリー小説をかけたらいいなって思ってます!! (2019年4月27日 15時) (レス) id: 3967770775 (このIDを非表示/違反報告)
みさき - ストローさんはこれが完結したら次は何をかくのですか?パラガス書いてくれますか?ブロ×パラでパラ受けのもn……ゲフンゲフン。 またドラゴンボールを書いてくれると嬉しいです。 (2019年4月23日 21時) (レス) id: 20e162e3ba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ストロー | 作成日時:2019年3月12日 22時

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