XXXIII ページ16
「久しぶりだね。フィンラルさん」
「そ、そうですね。お元気そうで何よりです」
妙に緊張しているフィンラル。どうしたんだ？
ま、まさか、初恋の相手とか…………？
「いやー元気過ぎて軟派三昧だよ」
「えっ！ ラウラさんがですか！」
「え、ラウラさん女性でしょう？」
二人でそう聞くと、ラウラさんは誇らしげに……つかその言葉を待っていたと言わんばかりに言った。
「愛に性別は関係無いのさ！」
…………ウインク付きだった。
流石にフィンラルも苦笑いしかできない様子。
「少しは笑っても良いんですよ……？」
「あ、ネタだったの？ ギャグだったの？」
盛大にスベってはいたが、何だか俺たちの関係を肯定された気分だった。
ちょっと嬉しい。
「そ、それじゃあ帰りましょうか。ラウラさん、お元気で」
逃げるように歩き出したフィンラルに手を引かれる。
しかし、ラウラさんが話しかけた。
「あ、待ってフィンラルさん。姉さんは元気？」
「…………」
フィンラルは、一度ピタリと止まってから、何も言わずに空間魔法を使った。
「おいおい、女性のことを無視してんなよバカタレ」
俺の部屋に直通だった。
フィンラルの顔は見えない。
「フィンラル？」
「……すみません」
一言だけ謝って、フィンラルは自分の部屋に戻った。
妙に変な態度取ってたな。
ラウラさんと昔なんかあったのか？
けど、ヴォルト家なんて聞いたことないんだよな……。
何だか嫌な予感がしたが、気のせいだと振り払って目を閉じた。
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作者名：ルーラ | 作成日時：2017年11月18日 22時
