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XXIX ページ12
“――……どうして？”
女のコの声が聞こえる。
少し幼いコだ。
どうして、と聞かれても、脈絡が無さすぎてさっぱりわからない。
何の話だろうか。
“ねェ、どうして？”
わからない。
“どうして？”
わからない。
“どうして？”
わからないんだってば。
“どうして、アナタはいつもいつも――……”
オレ？ オレは何もしてないよ？
一体どうしたの？
何かあったの？
“フィンラルさん”
「フィンラルさん、フィンラルさんは、姉さんが好きなんでしょ？」
「えっ、いやっ、その……おおお、お綺麗だと思います……」
「フフフ、けどね。あの人ってば、結構意地っ張りなの。その上、頑固なところもあるんだ〜」
「そ、そうなんですか」
「意外でしょ〜。だから、私からしたらアナタと……アナタと姉さんが、一緒になってくれたら嬉しいな」
「……僕は……」
「無理なら、私と結婚しちゃう？」
「えっ……！」
「フフッ、冗談よ。本気にしないで？ じゃあ、姉さんをよろしくね」
「……はい」
“どうか……――姉さんをお願い”
ごめんなさい。――さん。
僕は――……オレは逃げてしまいました。
約束も果たせませんでした。
全てを置いて、全てに背を向けて、逃げてしまいました。
ごめんなさい、ごめんなさい――……。
.
.
――……赦すと思う？
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革ベルト
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作者名：ルーラ | 作成日時：2017年11月18日 22時
