propose*029 ページ30
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思い切って、“結婚”の言葉を口にした。
もう、私には迷いなんてなかった。
鼓動がだんだん早くなっていく。
力を込めたはずの手は震え始める。
赤葦さんは、こんな経験を2回もしてきたの…?
結婚という言葉がどれだけ重いのか
まだきちんと理解出来ている自信はない。
それに、私が経験したこともないくらい
乗り越えることが困難な壁がこれから待っているのだと思う。
それでも。いや、そうだからこそ。
大好きな赤葦さんと、乗り越えていきたいなって。そう思えたから。
「……あー、幸せすぎて頭おかしくなりそう」
どうやらまた私は赤葦さんのことを泣かせてしまったようで。
今回は無言で頭に圧力をかけられている。
力強すぎる。頭がぴくりとも動かない。
「赤葦さん!!頭!痛い!痛いです!!」
「その呼び方やめてくれるならいいですけど」
「……え?」
一瞬だけ、頭にかかっていた力が緩まった。
その隙にするりと抜け出して、1メートルほど離れてみる。
目の前には、え?とでも言いたげな表情の赤葦さんがいた。
その様子からすると、私が抜けたことに対しては
それほど気にしていないようだった。
「赤葦さんって呼ばれるの、嫌でした?」
「あなた結婚するってことがどういうことか分かってないんですか」
理由を理解するためには、その一言だけで十分だった。
頭の中で整理がつけば、たちまち顔が熱を帯びていくのがわかった。
「わ、私も……赤葦さんに、なる……」
声を震わせながらそう言うと、
赤葦さんはその通り、と親指を立てた。
そして、敬語もやめてお互い呼び捨てで呼び合うことにもなったのです。
「……A」
「け、けけけ…京治」
「俺はそんなに“け”つかないよ」
「う、うるさいです!!……あっ、うるさい!!」
これは、そのうち慣れることだろう。
京治ですら敬語が抜けていないし、
仕方ないと割り切ることにした。
そして私たちは、本当の本当に帰るタイミングを失っていたのですが……。
「今日は俺の家泊まっていきます?……あっいや、泊まる?」
私が大きく頷くと、京治はくるりと向きを変えて歩き出した。
「あっ、待って!!」
先を行く彼を追いかけて、離れないようにその腕をぎゅっと掴む。
どうやら、今日は離れることがないみたいです。
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雪見ユキバ(プロフ) - くぅ、か、カッコよすぎだろ… (2019年5月2日 22時) (レス) id: a10d471b60 (このIDを非表示/違反報告)
まろん - マジすこです() (2018年12月23日 9時) (レス) id: 5890d86e26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めかこ | 作成日時:2018年10月21日 20時