初めまして、花嫁さん【赤葦京治】 (ページ24)

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まさか、あの“けいじくん”が、
本当に赤葦さんだったとは。

夢のような話に、未だ興奮がおさまっていない。

｢赤葦さんは、気付いてました？このこと｣

｢……そう、ですね。気付いてました｣

ブランコから降りて、隣に変な向きではまっている赤葦さんの近くに寄る。

普段はクールで優しい赤葦さんが

変な向きではあるけれど、子ども用の小さなブランコに
いい感じにはまっている様子はなかなか面白い。

｢もし、お互いずっと言えないままだったら、今頃どうなっていたんでしょう……｣

ふと私の頭の中にひとつの疑問が浮かぶ。

｢今頃、俺から言ってましたね。

少なくとも、昔の話を聞いたときに言おうとは思ってたので｣

｢そう、ですよね……｣

少し寂しげに呟いた赤葦さん。

その気持ちを考えると、聞いたことを悔やんでしまう。

そもそも、私は赤葦さんと同じ学校に進学していたことに気付いていなかった。

高校のときはただただ憧れていただけだったし、
“けいじくん”かもしれないだなんて一瞬たりとも思わなかった。

それに、一度も会話することすら果たせずに終わってしまった。

強いて言うなら、一度ぶつかったときに
謝罪の言葉を交わしたことはあったかな……というくらい。

あの時は、ぶつかった右肩のところだけよけて
洗濯できないかなって思っていたなぁ……。

……ん？

ひとつだけ、ずっと心の奥で引っかかっていたことを思い出した。

入学してから、今までに

一度も言っていなかったこと。

｢私、赤葦さんに名前教えたこと、

なかったですよね……｣

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