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「それで、その少年とはどうなったんですか?」

「もう、あの日以来会ってないです。顔もよく覚えていないですし」



思い出すと、苦しくなる。


傍から見れば、大したことないのかもしれない。
もう何年も経っているのだから、諦めるべきだとも思う。


それでも、いつも心のどこかにあの子がいて、

名前も雰囲気も優しいところも似た赤葦さんに
あの子の姿を重ねてしまったのは事実だった。



「……馬鹿ですよね、10年以上前のことなのに」



ここまで似ているなんてもしかして、と思った時もあった。


でも、それは早く忘れたいことだったわけで、

今は今で幸せな日々を送れているから
それでいいとばかり思っていた。



「馬鹿なんかじゃ……ないです」



俺も忘れられないことの一つや二つありますし、と赤葦さんは続けた。


この時の私は、期待していた。
ほんの僅かな可能性に、そうであってほしいと願っていた。



「赤葦さん、ひとつ聞きたいことがあります」



隣にいる赤葦さんを、まっすぐ見つめる。



「何ですか?」



「……赤葦さんは、“けいじくん”では、ない……ですよね?」



ブランコの鎖をぎゅっと握りしめる。

ほんの少しの沈黙なのに、うんと重く感じた。


今にも心臓が飛び出そうなくらいに、
胸の鼓動が全身に響いているのがわかる。



「……です、そうです。俺です」



本当に、赤葦さんだったんだ……!!


この事実が頭で理解出来た瞬間、
視界が一気に晴れわたっていった。

今までの謎がこの一言で解けていく。



「やっぱり、そうだった____」

「……嘘ですよ」

「えっ、……え?」



この数秒間で私の表情は何度変わったのだろう。

呆気にとられた私は、口をぽかんと開けてしばらく固まっていた。



「そうだったらいいんですけどね……」



そう言って赤葦さんは俯いた。


少しでも期待した私が馬鹿だった。
ここまで都合のいい話なんてあるわけない。

分かっていても、どこか寂しい気持ちがあり
私はがくりと肩を落とす。



「だって、思わないじゃないですか」



俯いたまま、赤葦さんは話を続けていた。






「毎日のように犬のTシャツを着ていた子が、

こんなに素敵な女性になっているだなんて」






私は、犬が好きだったことしか話していなかったはずだ。






「ごめんなさい、嘘なんかじゃないです。

……これで分かってもらえました?」




本当に、全てが繋がった瞬間だった。



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設定タグ:ハイキュー , 赤葦京治   
作品ジャンル:ラブコメ
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雪見ユキバ(プロフ) - くぅ、か、カッコよすぎだろ… (2019年5月2日 22時) (レス) id: a10d471b60 (このIDを非表示/違反報告)
まろん - マジすこです() (2018年12月23日 9時) (レス) id: 5890d86e26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:めかこ | 作成日時:2018年10月21日 20時

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