微風は優しいキスを運ぶ

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早足で進む岳のスピードはすごく速くて、小走りをしないとついて行けなかった。岳の家に着くまで、会話は一言も無かった。





岳「どうぞ、入って」


「あ、ありがとう……」






岳は雑に部屋のドアを開けて、私を中に入れた。大きな音を立ててドアを閉めると、そこに座ってとベッドを指差した。






「岳の部屋ってこんな感じなんだ〜、、」





岳の顔色を見ながら、当たり障りのないコメントを吐いてみた。だけど岳からの返答は何も無かった。





「岳、、？」





岳「お前さぁ……大津さんと何かあったんだろ？」



「え、、」


岳「やっぱりな、図星か」






なんで分かったんだろう？

何も言ってないのに。






岳「俺さ、見ちゃったんだよね。大津さんと他の女の人が手繋いで歩いてんの」


「わ、私も見ちゃったんだ……」


岳「どうすんだよ、これから」


「わかんない」


岳「お前はそもそも大津さんのこと好きなの？」


「え？」


岳「俺ずっと思ってたんだよね、大津さんとAが付き合ったのって勢いなんじゃないかなって」






勢い、、か。

確かに勢いみたいなもんだ。

あの状況じゃ断われないし。







「確かに、、」


岳「じゃあ大津さんと付き合ってる理由ないんじゃねーの？」








別れよう、って祐樹に言ったらどうなるのかな。

なんて返すのかな。








岳「お前さっき、私のこと女として見てるの？って言っただろ？」


「あ、、うん」


岳「あの答え分かったわ」

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