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「あ、停めろ」
弟に心配されているなど知らない蘭は組んでいる長い足を運転席に向かって振り上げた。
部下にその場で待つよう指示し、車を降りて歩き出す。
角を右に曲がり数メートル歩けば、もう通い慣いなれたパン屋に到着だ。
窓から中を覗き、キョロキョロと見渡す。
「おっいた♡」
キャップの下からゆらゆらと揺れるポニーテールを見つけ、蘭は中に足を踏み入れた。
今はパンの補充をしているようだ。
「Aちゃん」
『あっいらっしゃいませ、蘭さん！』
振り向く際に揺れた彼女の髪からふわりとシャンプーの香りがし、蘭の鼻を擽った。
(あー可愛いー…抱き潰してぇー…)
柔らかそうなセミロングの髪、あめ玉のような大きな瞳の下にスッと通った鼻筋。そして、ぽってりとした唇。
灰谷蘭がパン屋に通う理由、それは彼女に会うためであった。
「Aちゃんいたし、入っちゃった♡」
『いつもありがとうございます。蘭さん、ほんとパンお好きなんですね！』
パンが好きと言うより彼女の作るパンが好き。
いや、彼女が好きで灰谷蘭はここに通っていることをAは知らない。
そして、弟の竜胆もまさか女泣かせの灰谷蘭が女に会いにパン屋に足繁く通っているなんて想像もできないだろう。
「昼飯まだだし、食ってくわ。Aちゃんレジしてくれる？」
『はい、これ一旦置いて来ますね！』
手に持っていた補充用のパンを置きに戻ろうとすると、近くにいたスタッフが「やっておきますよ」とAからそれを受け取る。
Aは小さく礼を言い、カウンターの中へ入ると、別のスタッフたちが「いつものチーフのお客様だ！」と色めき立っていた。
灰谷蘭は長身でそれはそれは整った顔立ちをしている。
最初は見るからにカタギではない雰囲気にびびっていたスタッフたちだが、Aに向けられる笑顔や大量にパンを購入していく姿にギャップ萌え(？)を感じ、憧れの芸能人的な顧客様となっていた。
『今日は何にします？』
「んー…じゃあ、この日替わりサンドで」
『はい、ドリンクはいつものアイスコーヒー、ブラックで大丈夫ですか？』
「うん、ありがと。」
会計を終え、蘭はふとAが被っているキャップに目が向いた。
キャップには“ L'oiseau bleu”と店名がプリントされている。
ロワゾー・ブルー。フランス語で青い鳥。
幸福を意味するそれはまさしく彼女にピッタリだった。
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天然石 - 続き書いてほしい (2022年10月29日 8時) (
レス) id: 9e1c69280d (このIDを非表示/違反報告)
天然水 - いつぐらいまで更新しないんですか? (2022年9月15日 22時) (レス) id: 9e1c69280d (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 面白いです‼️ 続きが気になる〜😆応援シテマスッ😆 (2022年7月9日 20時) (レス) @page45 id: 97f09e59d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 天然水さん» コメントありがとうございます。楽しみにお待ちいただけているのは嬉しいのですが、納得のいくものができるまで投稿することはできません。お待ちいただけましたら幸いです。 (2022年6月8日 21時) (レス) id: 5e3b7e37d3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 月宮莉夢さん» コメントありがとうございます。更新停滞しており申し訳ありませんm(_ _)m引き続き楽しんでいただける作品が作れるよう頑張ります！ (2022年6月8日 21時) (レス) id: 5e3b7e37d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆず | 作成日時：2022年2月22日 18時
