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飼い猫【琴吹 爽;きなこ】 ページ9

戦に参加してからいくつかの年月が流れた。

私は来る日も来る日も剣を振るうことに嫌気が差していた。
疲れるし、面倒だしもうやめたい。そう思ったから、所属している組のトップの元へと向かった。


「私、戦から抜けてもいいですか?」
もう、普通の女になりたい。……私には、無理か。普通がなんだか分からない私には。

「駄目だ。」
いいと、言ってもらえると思っていた。
他にも戦から抜けて行った人だってたくさんいた。こっそり抜け出ていった訳でもなく、最後に挨拶までしてだ。私の組のいいところはそこが自由な所だった。
「お前は、売られたんだよ。『戦闘力は俺らが育て上げたんで。』とか、言ってな。」
こっちも金を払ったんだ。死ぬまでいてもらうと。
そのときの男の目は汚かった。私を送り出した男の目と同じ。私がいた村の大人と同じ。

そうだ、大人ってこんなだった。

村から居なくなって約10年。私は、大人の汚さをもう一度実感した。






その夜、私は戦場から抜け出した。
と、言っても行く宛もない。だから、私は負傷兵のふりをして心優しい人の家を移り歩いた。

私もいつのまにか、汚い大人になっていたのだろう。平気で心優しい人を騙しているんだ。
どうせ、そういう運命だったんだ。もう、死んでしまおうか。
何度もそう思った。


そんな時、ある女性が私に声をかけてきた。
その人は、白い髪に赤い綺麗な目を持った人だった。
この人についていけば、私は私になれるかも知れない。


これが、私と彼岸花の出会い






そこからは、凄く楽しい。多分、人生で一番。


本当の私をさらけ出して、それを認めてくれる仲間がいて。



きっと私はずっと、こんな生活を望んでいた。



だから、私は彼岸花のためなら喜んで剣を振るう。

名前の知らぬ小鳥たちよ聞け 【彼方琴代:英】→←捨て猫【琴吹 爽;きなこ】



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(プロフ) - 終わりました (2019年2月24日 13時) (レス) id: 9b991eef88 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新します (2019年2月24日 13時) (レス) id: 9b991eef88 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - 終わりました。 (2018年9月26日 23時) (レス) id: 6b9c59579e (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - 更新してきます。 (2018年9月26日 23時) (レス) id: 6b9c59579e (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - 一度、終わります。 (2018年9月26日 18時) (レス) id: 6b9c59579e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:血塗られし彼岸花参加者 x他6人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年9月9日 18時

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