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生温い風が頬を舐めるように掠った。充満する鉄の香り。ぽつぽつと天井から足元に落ちてくるのは雨漏りではない。

「やっぱ私刀は向いてないかもー」

彼岸花の証である羽織の色は、花の名の通りの色を示しているのだと思った。それもあるのかもしれないが、本来の意味がこの時初めて分かった。
赤は血の色だ。羽織の赤は、返り血が目立たないようにするためだったのだ。

「ずっと見てたんでしょむっちゃん?どう?合格かな?」


_____「ここの地区一帯に攘夷志士が潜んでいるとの情報が入った。今回は薔薇隊の管轄だ。まあ、面倒は起こすな」

本来なら、手練揃いの薔薇隊が出動するまでもない任務であった。が、今回は事情があった。

「彼方琴代の試験をするだ?」
「ああ。正直言って、彼奴は薔薇隊に、彼岸花に相応しくない」
「戦闘センスは抜群と聞いたが」
「ああ。問題はない。が彼奴は一般人だろう、んなちょっとばかし喧嘩慣れしているお嬢ちゃんがやってける程ここは甘くねぇ」
「それは、局長の意向に背くとも捉えられるが」
「かもな。だが役立たずは要らねえだろ」
「……考えておく」

琴代に実戦経験はない。たった一回人殺しをしただけの他の隊員とは比べるにも価しない。指導役として受け持っている日頃の訓練では確かに他と遜色ない才能を見せてはいるが訓練と実戦は違う。この程度の任務で問題があれば容赦無く切り捨てるつもりだった。

「家の中身、全部ですか」
「ああ。女子供だろうが躊躇すんな。攘夷志士とその家族も残さず斬れ」
「はぁい」

本戦前であるというのに、彼方琴代から緊張感は感じられない。余程余裕なのか、唯の状況理解をしていない阿呆なのか。

「俺は向こう一帯を行く。何かあっても助けねぇからてめぇでどうにかしろ」
「辛辣ぅ」

まあいいか、と無邪気に笑った琴代は羽織を振り翳し家の中へと入っていった。睦月は暫く家の外壁に持たれ、その時が来るのを待っていた。
その時が来たのは、想定よりも少し早かった。バタバタと、忙しなく走る音が聞こえた。征伐が始まったのだ。そして同時に琴代の試験も始まりの合図を迎える。睦月は壁から背を離し同じく家の中へと足を進めた。
入って直ぐ、人の気配がするので息を殺して部屋の中を覗き込む。

「むっちゃん覗きは犯罪だぞぉ」

そこで見たものは、一言で言うのであれば地獄と、そう言うのが一番合っていた。

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(プロフ) - 終わりました (2019年2月24日 13時) (レス) id: 9b991eef88 (このIDを非表示/違反報告)
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きなこ(プロフ) - 終わりました。 (2018年9月26日 23時) (レス) id: 6b9c59579e (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - 更新してきます。 (2018年9月26日 23時) (レス) id: 6b9c59579e (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - 一度、終わります。 (2018年9月26日 18時) (レス) id: 6b9c59579e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:血塗られし彼岸花参加者 x他6人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年9月9日 18時

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