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12 atsuto ページ12

結局昨日はハッキリとした返事は聞けず。
いや、それはもう判ってるからいいんだけどさ。
仕事を続けていいのかという事を気にしていたな・・・。

それに、Aの様子がいつもとは違った。
フランツの言葉も気になった。

でも後はもう俺が我慢できなくなっちゃって、その話はそこでおしまいになってしまった。
だってさ、Aってばスカートだったんだもん。
そんな事で俺のテンションが上がるなら、普段は全然スカートを着ないってのもありだな。
なんて思ったり。

Aの柔らかさを堪能して、久々に彼女の熱っぽい吐息も聴いて、俺は、俺も、まあ甘くなるじゃん、そんなの。
いつもクールで、まさにリケジョな4つ年上のAが、夜、あんなに可愛いなんてさ。

俺、なんかしちゃったのかな、とか思ったけど、ゆうべのAはちゃんと俺への気持ちが溢れてた。
判るじゃん、そういうの。




朝は、余韻に浸りたかったけど、Aは仕事だったからそのまま病院まで送る。
俺はホテルまで車で来てたし、鹿嶋まで帰るのには、通り道と言えば通り道だったし。
まだ早い時間だから都内の道は空いていて、スムーズに千葉市内に入った。

「昨日の話だけどさ」
「ん?」
「ご両親に挨拶、とか、さ」
「…うん、そうね」

そう言って窓の外を見る。

「あ、この辺でいいわ。その先のコンビニで降ろしてもらっていい?」
「え、病院まで行くよ」
「だめ、誰かに見られたら困るじゃない」
「困んないよ、別に」

睨むように俺を見る。

「困る」
「…判ったよ」
「ごめんね?」
「いや、こっちこそ。気を遣わせて、悪い」

そんな事ないよっていつもは言うのに、黙ったままのAに少し違和感。

「A?」
「あ、うん。…ドイツは良かったよね、あんまりそういうの気にしなくて済んだから」

Aが「ちょっと待ってて」と言って、コンビニに入って行き、しばらくすると何か買って戻って来た。

「はい、朝ごはん。ちゃんと食べてね?」

早朝だったし、どこにも寄らずに来たから朝ごはんは食べてない。
袋の中を覗くと、おにぎりとお茶、それに野菜ジュースが入っていた。

「サンキュ」

窓から腕を出して、Aの頭を撫でる。

なんだろ。
今朝のAは。

なんだか儚い感じがする。
昨日の夜の、あの艶かしい感じとのギャップ。

「じゃ、来週な」

車を出して、バックミラーで見たAは、小さく手を振っていた。

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馨子(プロフ) - かずさん» かずさん、初めまして。コメントありがとうございます。続き、書きます。もうしばらくお待ち下さいませ。 (2020年10月8日 21時) (レス) id: 3d2bd1be2e (このIDを非表示/違反報告)
かず(プロフ) - たまたま見つけて初めから一気読みしてしまいました!続きをたのしみにしています。 (2020年8月30日 19時) (レス) id: 5b90d9c873 (このIDを非表示/違反報告)
馨子(プロフ) - SARAさん» SARAさん、コメントありがとうございます。更新はします! 中々時間が取れないので超超スロー更新とはなりますが、気長にお待ち下さると嬉しいです。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2020年5月27日 15時) (レス) id: 3d2bd1be2e (このIDを非表示/違反報告)
SARA - たまたま見つけて読み始めたのですが、このお話大好きです!!もう更新はされないのでしょうか?続きを楽しみにしています! (2020年5月27日 10時) (レス) id: 33418b16ef (このIDを非表示/違反報告)
馨子(プロフ) - みのりんさん» みのりんさん、コメントありがとうございます。久々の更新でしたのでドキドキしました。また、お会いしましょう。 (2020年4月25日 16時) (レス) id: 3d2bd1be2e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:馨子 | 作成日時:2018年8月25日 11時

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