I Need To Be In Love

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唐揚げタイムも終わって、今度はAが買ってきた丸ごとのチーズケーキを切り分けるのにまた4人は大騒ぎ。

8等分でいいじゃん。
だって7人だし。
誰かが2個食べれば。
俺2個食べれる。

あーでもないこーでもないとやった後、結局8つに切り分け、Aに2ピース、って事で落ち着いた。

・・・ほんとにお前ら、子供みたい。

｢私、そんなに食べられないからどうぞ？｣
｢ダイエットとかしてんすか？｣
｢そうじゃないけど、ゆうべ夜勤で甘いもの食べちゃたし｣

Aは昨日の昼からずっと仕事で、今日も午前中の訓練に出てからうちに来た。

｢訓練て、避難訓練みたいなのですか？｣
｢避難と言うより受け入れの訓練かな｣
｢受け入れ？｣
｢大きな事故や災害があった時の｣
｢ああ、あれですよね？ トリアージとか｣
｢そうそう｣

まるで先生と生徒みたいに質問攻めにあっている。

｢Aさんは、なんで医者になろうと思ったんですか？｣
｢え？｣
｢あー、俺も知りたい｣
｢篤人さんも知らないんですか？｣
｢うん。芳実さんは？ 知ってる？｣
｢いえ、僕も知りませんけど、でも、高2の時にはもう理系クラスだったよね？｣
｢よく覚えてるね｣

こんな時、ちょっと妬ける。
俺の知らないAを知ってる芳実さんに。

｢中学生の時に国境なき医師団のドキュメンタリーをテレビで観たの｣

途上国で感染症のこどもを治療する内容だったと。

｢多感な年頃だったから、酷い状態のこども達にすごくショックを受けたし、でもなんだか目が離せなくって｣
｢それで医者を目指したんすか？｣
｢多分きっかけはそれかな。だから、ほんとは小児をやりたかったの｣
｢ショウニ？｣
｢小児科。…でもね、実習なんかで病気の、小さいのに沢山手術してる子とかを見ると、可哀想で冷静でいられなくて。…泣けてきちゃたりしてね｣
｢ああ…｣
｢手術の見学で血を見ても全然平気なのに、こどもが苦しんでるのは辛くて、無理だなと｣

ドイツの病院で、入院しているこども達と接していた時のAを思い出す。
クールに笑顔でいたけれど、心の中では泣いていたのかも。

｢でもちゃんと医者になって、患者さんの為に仕事してて、偉いっすよ｣
｢僕らなんかサッカーしか出来ないし｣
｢だよな？｣
｢…でもね｣

Aは少し考えてから言った。

｢でもね？ そのサッカーで元気になる患者さんもいるんだから、そういう意味ではみんなも私も同じよ？｣

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