不気味 ページ14
リーダー格は、彼らにこう言った。
「俺は、ティモス・グリーン。仲間達からはサーベルタイガーって呼ばれている。でも、ティムって呼んでくれるとありがたい。さあ、俺んちの中に入ろうぜ。」
彼らはティムんちの中に入った。
……なんか不気味だ。玄関はハロウィーンの凝った飾り付けがしてあるが、あまり熱心に掃除されていないであろう状況とはミスマッチだ。玄関の横には階段があって、そこを上がるとティムの部屋ならしい。
「ティム、ハロウィーンにお客さんなんて、久しぶりじゃないの！さあ、おもてなししたいからこっちに来てちょうだい。」
「分かった。後にするよ。」そういい、ティムはぼくらに階段を上がらせ、部屋に入れた。
「ごめんな、綺麗なうちじゃなくて。言い訳にしか聞こえないかもだけど、これは昔からじゃないんだ。これも、親父が死んでからなんだ。
親父が死んだとき、俺は12だった。親父はシカゴの方でビジネスをやっていて、うちに帰るのは時々だったんだよ。お前ら、12ってどんな年頃か知ってるか？難しい年齢なんだよ、そもそも。そんな時に親父に、よくわからん親父に、死なれるなんてなあ。
親父の死因は、、、事故死だったんだ。トラックがぶつかったらしい。で、即死。母は、そのときはしっかり者だったんだ。聖歌隊にも入ってたし、バーベキューもよくやってた。そんな母の事だから、親父が死んだとき、自分がしっかりしないと、って思ったんだろう。仕事もすぐ探しだして、働き始めた。
一方の俺は、親父が死ぬまでは、割といい子だったんだ。ボーイスカウトにも入ってた。でも親父が死んでからは抜け殻さ。もうどうでも良くなった。何もかも。そして、あるきっかけで地元の悪い奴と絡むようになった。色んなものをぶち壊して、現実逃避をしてた。
ある時、奴らの一人が母の勤務先に落書きをしようとした。俺は、そんなこと、知らなくて、ただ彼らと一緒に居ただけだ。
でも、それを母に見られたんだ。
母は、その日、俺が帰ると、父の写真を見つめてたんだ。そして、今までのものを押し流すように泣いた。
そして、母は壊れたんだ。働くのを止め、聖歌隊もやめ、代わりに家で親父と踊ったという歌ばかり流したんだ。口を開けば父との思い出話ばかり。俺はどこにもいない。
母が働かないので、代わりに俺が大工として働くようになった。学校をやめ。そして気晴らしにさっきのみたいなことをやってる。ほんと、惨めだよなあ。」
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作者名：蒼孤 | 作成日時：2022年8月12日 15時
