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保健室のドアを開けて中を覗くと至近距離で微笑み合うヒナとA。
それを見た瞬間胸に走った鋭い痛み。
『何してんの…？』
『挨拶しとっただけや』
慌てて離れたAの顔がほのかに赤い。
俺はヒナを離すために近づこうとすると、Aは近づいてくる俺を見るなりヒナの背中に隠れてしまった。
『な…！なんで隠れんねん…』
「さっき私に言った言葉を前言撤回しない限り横山さんは優しくないヤンキーの仲間です！」
『はぁ？』
「村上さんは優しいヤンキーです」
『なんでお前は…』
『優しいヤンキーにならんと…仲良くできひんぞ〜』
ニヤつくヒナの学ランの裾を掴んで背中の後ろから俺を見上げるAに、俺は嫉妬と共に心臓の鼓動が高まった。
『すみませんでした…』
頭を下げて謝れば俺の頭を優しく撫でた小さな手。
優しいヤンキー認定をされればAは優しい笑みを俺に向けてくれる。
手を伸ばしたら届く距離に居るのにこういう時ばかり俺の体は動かなくなってしまう。
「隆平…！」
俺の側から離れていけば隆平と呼ばれる男に抱きしめられるA。
ふつふつと何かが込み上げる感情と、息苦しくなる心。
俺は男に感情にまかせて全てをぶつけると、目を丸くして俺を見つめるAから逃げるように保健室から飛び出した。
自分が自分やないように思えるほど俺は自分を見失いかけていた。
『なんやねん…これ…』
鞄を手で担ぎ直すと俺は校舎を出た。
「横山さん…！」
俺の名前を呼んで転けながら飛び出してきたAを瞬時に受け止めると、柔らかく小さな体が俺の胸の中に収まった。
背中に手を回して抱きしめるとほのかに香って来た爽やかないい香り。
俺は無意識に頭に鼻を近づけ匂いを吸い込んでいた。
いきなりこんな変態行為されて驚くAに突き放されても匂いが残り続ける。
『うるせぇな…お前には分からへんよ、阿呆女』
そばに居て欲しい。
Aのことが…好きになってしまったと。
俺は言えない。
なんでかなんて俺にやって分からへん。
でも…Aのそばにはあいつが居ることは誰だって分かることだった。
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夜(プロフ) - みけねこさん» コメントありがとうございます。ワクワクしてもらえて何よりです、！お楽しみください。 (2022年1月29日 15時) (
レス) id: 21360e0486 (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ(プロフ) - 初めまして。更新を楽しみに読ませてもらってます！次はどんな展開になるだろう…とワクワクしちゃってます。 (2022年1月28日 20時) (レス) @page7 id: d311d92dc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜 | 作成日時：2022年1月18日 12時
