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「横山さん…！」
私の身体は咄嗟に横山さんを追いかけ、保健室を飛び出し校舎の外まで出て行く。
「ぅ…あ…！」
昇降口のタイルに足をひっかけ宙に浮かんだ身体は大きな身体に抱き締められた。
『お前な、転けすぎ…下向いて歩け』
「横山さん…あ、あの…お礼言ってなかったと思って…本当に…あの…もう離してもらっても大丈夫ですよ…？」
爽やかな香りが漂う学ランに身を委ねていたが、中々離れる気配が無い。
するといきなり頭の匂いを嗅がれた。
「え…え…何してるんですか？！」
慌てて横山さんの胸を押して離れると、横山さんは私を見つめたまま何も発さない。
「よ…横山さん…？」
『お前…ええ匂いやな』
「そ…そうですか？？」
『香水やなくて…なんか…』
「シャンプーの匂いですかね…？」
首を傾げ尋ねると、横山さんは私に近づき重たい前髪から私を見下げる。
『礼とかいらねぇから…それと、やっぱりお前は俺に関わんな。俺ももう関わらへんから』
そう言うと横山さんはすぐに立ち去ろうとする。
「ま…待ってください！どうしてですか？」
『うるせぇな…お前には分からへんよ、阿呆女』
私に背を向けたまま暴言を言い捨てるとそのまま帰って行ってしまった。
「な…なんなのあの人…」
学校から出て行く金髪頭を見送っていると後ろから近づいてきた足音。
『あれ…ヨコは？』
「なんか…暴言吐いて帰りました」
『暴言？あいつな仲良うなりたい奴にほど口悪なんねん…許したってや』
「仲良く…」
校門の方に視線を向けるがもちろん姿はなく、私の隣には隆平が居た。
『A帰ろう』
「うん…あ、横山さんなら右に」
『あいつが行く場所分かっとるから大丈夫やで』
じゃあなと手を振ると村上さんは、颯爽と横山さんの後を追って行った。
『A…ごめんな』
「何言ってんの？隆平がそんな真面目な顔すんの似合わないよ」
『横山先輩が言うこと全部ほんまにそうやと思って…僕のせいで』
「あ、隆平腹ごしらえする前に塾始まっちゃうよ！」
『え…あ、』
落ち込みまくってる隆平の腕を引いて私は校門を抜けて左へと走った。
まだ何も知らない私の高校生活が始まった。
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夜(プロフ) - みけねこさん» コメントありがとうございます。ワクワクしてもらえて何よりです、！お楽しみください。 (2022年1月29日 15時) (
レス) id: 21360e0486 (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ(プロフ) - 初めまして。更新を楽しみに読ませてもらってます！次はどんな展開になるだろう…とワクワクしちゃってます。 (2022年1月28日 20時) (レス) @page7 id: d311d92dc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜 | 作成日時：2022年1月18日 12時
