愛されメイドの備忘録 (ページ15)

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今は君の傍で・緑ページ15

「はぁ…疲れたぁ…」

太陽が照らす中で花壇の手入れをしていればどっと疲れが身体を襲った。

昼食運ばないといけないし…洗濯物畳まないと…と考えるだけでため息が漏れる。

「少しお休みしよ…」

庭に出るための階段に腰掛け、眠気に耐えきれず横たわると目を閉じてしまった。

柔らかく温かい体温。

一定のリズムで頭を撫でられる。

ゆっくり目を開けると私は誰かの膝の上に頭を置いて眠っていた。

「え…あ、ごめんなさい！」

勢いよく身体を起こすとそこには眠そうな目をした大倉さんが居た。

『おはよ…』

「すみません…つい寝てしまって…今からお昼ご飯作りますから」

『ええから…』

立ち上がろうとした私の腕を掴むとまた元に座らせる。

「でも…」

『なぁ！昼飯誰か準備しといて！』

大倉さんはドアを開けて大きな声を廊下に響かせると、中から使用人が返事を返した。

『これでええやろ』

「はい…」

『んじゃ交代な』

「え、？」

大倉さんは私の膝の上に頭を置くと私を見上げる。綺麗で小さな顔が私を見つめ、私とお揃いとして買ったネックレスとピアスが目に入った。

「これ…休みの日でも付けてるんですか？」

『当たり前やん』

そっとピアスに触れるとその手は大きな手に握られてしまった。

『俺だけとのお揃いやろ？』

「はい…！」

『早く出かけようや。次の休み土曜日…空いてる？』

「土曜日は…村上さんと横山さんとの約束が…」

『はぁ…先週も譲ったやん！』

大倉さんは私の手を強く握ると頭の上に置いた。

「次の土曜日は…」

『仕事』

「じゃあ…今…」

『今は使用人とのんびりしたい気分』

「今日1日大倉さんの我儘にお付き合いしますから…許してください」

『ええよ』

優しく頭を撫でれば大倉さんは嬉しそうに目を瞑った。
静かな庭で温かい風が私達を包み、大きく欠伸をした大倉さんと微笑み合う。

「寝るならベッドの方が…」

『もう少しだーけ』

そう言って怪しく口角を上げた大倉さんは目を閉じる。

しばらく大倉さんの頭を撫で続けていれば誰かが走ってくる音が聞こえてきた。